越後駒ケ岳

2000年7月23日、豊栄山岳会主催名山訪問、総勢50名

魚沼地方に肩を組んだように聳える八海山、中ノ岳、駒ヶ岳は越後三山または魚沼三
山と呼ばれている。
日本百名山の著者深田久弥はこの三山の代表として一番山容が立派な駒ケ岳を百名山
に選んでいる。
毎年夏休み最初の日曜日に計画されている豊栄山岳会の名山訪問は今回はこの越後駒
ケ岳で行われることになった。
参加者は公募した市民を含めて総勢50名の大部隊となった。
本隊は前日より銀山平の旅館にて泊まっていたが、私は前日仕事だったので何時に
入れるか分からなかったたため、登山口の枝折峠にて車の中で一夜を過ごした。
早朝5時頃、本隊のマイクロバス2台が枝折峠に着いた。まずは班ごとに朝食を摂っ
た。
市民の方々は5班に分かれていて、それぞれに山岳会メンバーがリーダー、サブリー
ダーとして率いることになっている。
私は収容担当ということで具合の悪い人などに付く役目だ。
天気は快晴、朝食を摂っている間に未丈ガ岳から朝日が昇ってきた。枝折峠名物の雲
の滝も見ることが出来た。
5時30分頃、登山開始。私は列の最後尾に着いた。
景色の良い尾根道である。右手に守門、毛猛山塊、左手に荒沢岳を見ながら進んで
いった。
いくつかのピークを越えながら緩やかに登っていく。
道行山で先頭が間違って銀山平方向に入ってしまった。後から続く班もそれに続い
た。途中で間違ったことに気づいた班から引き返し本来の登山道を進んでいったが、
先頭の1班のみ無線を持っていなかったためか気づくのが遅れしばらく経ってから
戻ってきた。
気をつけてもらいたいものである。
分岐点には道標があるが傾いていて銀山平方向の道を差しているようにも見え、その
道に赤布がぶら下がっていたのだ。赤布は取り払った。
小倉山にて参加の山岳会メンバーとしては最年長の羽賀さんが別行動となった。山頂
は目指さず百草の池付近までゆっくり行って引き返すとのことだった。
気温はぐんぐん上がり、稜線上の道は逃げ込む木陰も少ない。
百草の池手前で、足が痙攣して動けない人がいると連絡が入った。その地点に到着す
ると、女性の方がひとりと高齢の男性の方がひとり我々の着くのを待っていた。
痙攣したのは女性の方で、男性の方は体力的に登頂は無理ということで下山する意向
だった。
痙攣の女性の方に足のストレッチを教え、モビラート(血行促進の薬?)を患部に
塗って回復するまでその場で待った。彼女はその時点では下山の意志はないようだっ
た。
少し経って歩きはじめたら再び痙攣した。この山は下山といえども登り返しが多く、
登山口までの距離も6キロはあるだろう。ちょうどその時に小倉山で別れた羽賀さん
と合流したので下山を勧めることになった。場所は百草の池に着いたところだった。
収容班のうち私と板垣さん二人を残してその他のメンバーは先に進んだ。
まもなく先行者より連絡が入り、百草の池より5分ほど登ったところでメンバーがひ
とり痙攣して動けないと連絡が入った。
取りあえず私ひとり現地に急いだ。
女性の方がひとり私の到着を待っていた。とにかくストレッチをして応急処置をし
た。しばらくして回復したようなので登るか下るか聞いたところ登るという、丁度板
垣さんが追いついたので歩きはじめた。
しかし、すぐに再び痙攣し下山させた方が良いと判断した。
百草の池にいる羽賀さんと連絡をとり、その方には下ってもらった。
百草の池を過ぎるとなかなかの急な登りとなる。その急な登りのところでまたひとり
女性が休んでいた。聞くとばてて動けないという。ただ、顔色は悪くなく、足も大丈
夫のようだ。
しばらく休んだ後、なんとか小屋まで行こうと上を目指した。
駒の小屋までノンストップでゆっくりと登ることが出来た。そこで、板垣さんが彼女
に付き添ってそこに留まることにした。ただし、結局最後は山頂まで登ってきた。
駒の小屋の水場は勢いが弱かったが、少し登ったところに雪解け水をパイプで流した
水場があった。
そこに先行した収容班のメンバーがひとりの女性を説得していた。彼女はもう登れな
いといっていたが、荷物を会のメンバーが持つから登ろうと説得していたのだ。
もう山頂まであと5分、ここでリタイヤしたら絶対後悔する。もう山頂でお昼を食べ
ているメンバーの声が聞こえるところだ。
なんとか説得して山頂までたどり着いた。登山開始から6時間を経過していた。
山頂手前の中ノ岳への分岐点付近でみんなは休んでいた。とにかく山頂の一等三角点
のところまで行こうと時間は押していたが走ってたどり着いた。
山頂からの景色は素晴らしかったが、写真を撮って急いで分岐点に戻り、昼食を摂っ
た。
下山も最後尾で降りはじめたが、途中で登山口でみなに分け与えるスイカの準備をせ
ねばならないということで、ペースをあげた。
振り返ると駒ケ岳山頂付近で雷雲が発生しており、雷が鳴りはじめた。道行山付近で
ぱらぱらと雨にあたったが、雨具を着るほどでもなかった。
明神峠付近でリタイヤしたメンバーをも追い越し、登山口の枝折峠に着いた時はちょ
うどバスが来た時だった。
登山口で食べたスイカの味は何にも代え難い味だった。
50名の団体登山で初めて収容担当になったが、ゆっくり歩いたり速く歩いたり、
登ったり、下ったり、しばらく止まったりでリズムが大幅に崩れ、その上、炎天下で
日蔭の少ない道、さすがに疲れてしまいました。


枝折峠より眺める「雲の滝」

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