権ノ神岳、粟ケ岳

ごんのかみだけ、あわがたけ

2000年11月12日、単独

コースタイム
5:10新潟市発=6:45水源池第二ダム発−6:57七頭、権ノ神ルート登山口
通過−7:25尾根取付き通過−9:17シバクラのクボネ通過−9:33権ノ神岳
着9:41発−9:48シバクラのクボネ通過−七頭通過−10:55粟ケ岳山頂着
11:45発−12:18砥沢峰着12:25発−大俣登山道−13:42水源池着
=七谷コミュニティーセンターで入浴=16:00新潟着

新潟県の村松町と下田村、三川村などにまたがる川内山塊は、標高が1000m前後
にもかかわらず谷が深く切れ込み、核心部は登山道が無い。その上、夏は蛭が出るた
めなかなか近寄りがたい。
11月に入ってそろそろ薮山に行きたくなってきた。新潟県の薮は多くは落葉樹で構成
されているため、葉が落ちきった今ごろは薮山攻略に絶好の機会なのである。
以前粟ケ岳に登った時、登山口の案内図で水源池から加茂川本流の大俣沢を溯って七
頭に直登ルートが書かれてあったことを思い出し、多少なりとも踏み跡は有るだろう
と出かけてみることにした。

登山口のキャンプ場の管理棟に登山者カードが置いてあるのでカードを提出して林道
を進んだ。
一番多く利用されている中央登山道の登山口を過ぎ、一旦登山口を下見に林道終点ま
で進んでみた。
林道終点には七頭、権ノ神岳登山口としっかりした標識が立てられてあった。案外立
派な登山道が有りそうだ。
その後、下山予定の砥沢峰への直登コースの大俣登山道の登山口を確認し、第二水源
池のダムサイトの広場に車を止めた。
この日は粟ケ岳山頂部分に雪が降ったと言う情報から、スパイク長靴を履いて歩き出
した。
空は曇り空だ。
林道終点からは大きな砂防ダムが見えるが、その手前に沢に降りていく道がある、そ
れが登山道のようだ。
沢に降りて対岸に徒渉し砂防ダムの高さまで登った。
道はしっかりしている。多くの人が歩いている証拠に坂の部分は足が乗せられるよう
なステップが出来ていた。
そこから先も山腹を削って作ったと思われるようなしっかりした登山道が続いてい
た。おそらく砂防ダムを作る時にこのように作ったのだろう。
沢の中をじゃぶじゃぶ歩くつもりでいたので拍子抜けしてしまった。
やがて沢沿いの道になり、所々踏み跡が沢に洗われて消えている所も有るが、とにか
く尾根の取付きは左から大きな沢が合流する地点だ、そこまでは沢沿いを進めば良
い。時折合流する涸れ沢が登山道のように見えるが間違えてはならない。
目指す尾根の取付きに来た。しっかりした道がついていた。
ここからは急登が始まる。しかし、しっかりした道だ。体にあたる木の枝は全く無い
どころか、広く刈り払われていて以外にもしっかりした登山道だった。
尾根上の621mの標高点は炭焼き場跡という標識が有った。この尾根の名前を示す
標識も有った。名前はイタガモモ尾根と言うようだ。
そこからも急な登りが続く。
急登が一息ついたところで(おそらく標高860m付近)道は尾根から離れはじめ
た。七頭へ直登すると思っていたが、権ノ神岳との鞍部のシバクラのクボネに出るよ
うだ。
まもなく大俣沢を渡った。稜線が近いのにまだ豊富な水量で流れている。この山の豊
かな保水力は大した物だ。
沢を渡って権ノ神岳の山腹を巻くようにして進んでいった。この山腹の道沿いにもい
くつか小沢が有り、白山、粟の縦走の時などに使えそうだ。
やがてシバクラのクボネに出た。
そこからは川内山塊の核心部の五剣谷岳や青里岳、矢筈岳が雪で白く化粧をした姿を
見せていた。
反対側に下る道がある。これは何処まで続いているのだろうか?
まずは権ノ神岳に登ることにした。稜線に出てからも広く刈り払われた登山道は続い
ていた。地元の人たちが定期的に整備しているのだろう。
登っているうちに雷が鳴った。雨でも降るかと心配したが、この雷の後、黒雲は消え
ていった。
権ノ神岳山頂からは素晴らしい景色が私を待っていた。
大迫力の粟ケ岳、その脇に鋭く尖った一本岳、そして、川内山塊の山々。越後平野と
日本海ももちろん見えた。
白山へ続く縦走路は踏み跡程度で薮っぽく見えた。
ただ、じっとしていると寒くなる。山頂はうっすらと雪に覆われていたのだ。
気力が萎えないうちに粟ケ岳へ向かった。
七頭はその名の通り七つの小突起がある山だが、歩いて数えたら五つしか確認できな
かった。(あとで砥沢峰より見たら、七つ有った。歩いている時に気づかないような
小突起まで数に入れているようだ。)
この時、空は一気に晴れ上がってきた。頭上を覆っていた雲は見る見る消えていっ
た。
それにしても気持ちの良い縦走路だ。遮る木が無く、周囲の景色が手に取るように見
える。
小さい鞍部を通過した後、粟ケ岳への登りが始まった。
登るにつれて雪が登山道を覆いはじめた。今年初めて味わう雪の感触だ。先程の権ノ
神岳は山頂に少し雪が有っただけで、登山道には雪が無かったのだ。
ただ、歩くには全く支障がない、積雪は3cmくらいのものだろう。
粟ケ岳北峰で一般登山道と合流した。ここまでは全く人には会わなかった。
そして、北峰で初めて人の姿を見た。
ここからは多くの人が歩いたのだろう。登山道上には全く雪が無くなってしまった。
中峰を通過して、いよいよ粟ケ岳山頂だ。
山頂からの眺めは素晴らしかった。私は登山再開後3回目の粟ケ岳だが、過去2回は
雨の中の登山で全く展望を得られなかった。3度目にして初めて大展望を見ることが
出来たのだ。
白山が丸い山頂を見せ、権現山、木六山、銀次郎、銀太郎、五剣谷岳と続く川内の核
心部。その背後に日倉山、マンダロク山、日本平山、鍋倉山。そして、最深部の青里
岳と矢筈岳。遠くには飯豊山が雪をいただいて控え、御神楽岳が端正な容姿を見せて
いた。
目を転ずれば、中の又山、浅草岳、番屋山、守門岳。そして、越後平野と米山、弥彦
山、角田山。その後ろに日本海。
素晴らしい展望だ。
山頂には十数人休んでいた。
素晴らしい展望を見ながら昼食を摂り、至福のひとときが過ぎた。日ざしが暖かいた
め全く寒くない。
体力が残っていれば一本岳まで足を伸ばそうとも考えていたが、それは次回に回すこ
とにした。
下山は北峰まで往路を戻り、一般登山道を避難小屋のある砥沢峰まで下った。
砥沢峰には粟ケ岳ヒュッテと名づけられた立派な小屋が有る。
そこから一般登山道を離れて、直接水源池へ下る大俣登山道を下っていった。また静
かな登山道になった。
葉が落ちた木々の間から回りの景色が見える。
登山道は落ち葉で埋め尽くされていた。落ち葉のクッションは気持ち良いが、スパイ
クに常に落ち葉をつけている状態での歩行となった。
一気に下って、大俣沢を徒渉し、水源池の湖畔の登山口に戻ってきた。
多少の薮こぎを覚悟していたが、全く薮となっているところはなく、天候にも恵ま
れ、快適な登山を楽しむことが出来た。


権ノ神岳より見た、一本岳(左)と粟ケ岳


粟ケ岳山頂より見た川内山塊核心部

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