裏妙義

2000年11月19日、単独

コースタイム 5:45横川登山口発−(藪こぎ)−7:46御岳通過−8:30丁須の頭着8:4 0発−9:05赤岩基部着9:12発−9:58風穴尾根の頭着10:08発−10 :20三方境通過−10:50 P1着11:28発−11:47三方境通過−13 :00入山登山口着=(自転車)=13:15横川登山口着

前日、東京の取引先に車で出張することになり、どうせなら帰りに関東の山を一座登 ることにした。
何処がいいかいろいろ調べているうち、特徴のある岩峰が魅力の裏妙義に行くことに した。

前日の夕方登山口の横川に入り、自転車を下山予定の入山にセットして、登山口のあ さおの吊り橋の駐車場にて、車中で一泊した。
早朝夜が明けないうちに出発した。
ヘッドランプを点けて歩き出す。 既にひとりの登山者が歩き出していた。
あさおの吊り橋を渡ってしばらくは遊歩道のような道だが、落ち葉が道を埋めている 上、ヘッドランプの明かり方よりではなんとなく心もとない。
やがて先行者に追いついた。 薄暗い中に麻苧(あさお)の滝を眺め、沢にかかる橋を渡って登りはじめるとロープ が張ってあり行き止まりのようだ。
回りを眺めるとロープのかかっている岩に鎖がぶ ら下がっている。 登山道としてはかなり手ごわい岩場だが、鎖が付いているので間違いないだろうと、 私が先にそこを登った。
足場の悪い岩場だったが何とか登った。後から来るはずの登山者はなかなか登ってこ ない、登れないと諦めたのか、取りあえず先に行くことにした。
やっとあたりが明るくなりはじめ、ヘッドランプを消した。
取付いた尾根をそのまま登っていったが、人通りが少ないのか道形が見えない。で も、上へ上へと行けば稜線に出るだろうと登っていった。
周囲は落葉樹林帯で葉が全て落ちており、周囲の景色が見える。
やがて誰かが歩いたような踏み跡が出てきた。まだ新しい踏み跡だ。
一箇所、沢の方 へトラバース気味に踏み跡が続いていたので行って見たが、沢で踏み跡は戻っている ようだった。先行者は沢で水を汲んだのか。
また、尾根に登って踏み跡を追った。朝早い私よりも早く出てきた人がいるのは驚き だ。 随分山慣れしている人だろう。
しかし、登山道とは思えない薮道だ。エアリアの赤線もあてに出来ないな、と考えて いると。 先行の踏み跡の主が現れた。なんと、鹿だった。鹿なら夜行性なので暗いうちに山を 歩くなんて分けないはずだ。鹿は3−4頭いた。私の姿を確認すると、鹿は枝尾根を 下っていった。
人の踏み跡だと思って歩いていた道は、実は獣道だったのである。 やっと、コースから外れていることに気づき、地図とコンパスで現在地を調べるが、 丁須の頭は分かるが、もう一つ目印が見えない。
慣れない土地で目印の山が特定でき ず、そのため、現在地は特定できなかった。
ま、上へ上へと歩けばいずれ稜線に出る さ、今更戻れない。それに、葉の落ちた落葉樹林帯はまわりの景色が見えて安心だ。
鹿の獣道から外れると、邪魔な枝が多くなったが、とにかく登った。 ようやく、はっきりした道に出た。
やがて産泰山の石碑が現れ、たどった道は登山道 のある尾根から一本南の尾根に取付いていたようだ。
登山道は快適だ、しかし、予定外の薮こぎで余計な体力を使ってしまった。
ひとりの登山者が追いついてきた。彼のタイムを聞くと、私は30分くらい薮こぎで タイムロスしているようだ。
御岳からは丁須の頭の特徴あるTの字の岩が見えてきた。
登山道とはいえ鎖のある岩場が何度も現れた。なかなかハードなコースだ。
丁須の頭手前で国民宿舎からの道が合流した。
丁須の頭へは北側を巻いて基部に出た。
見上げるとTの字の形をした岩にも鎖がぶら 下がっている。登れるのだろうか。とにかくその岩の下まで行って見た。
しかし、その場でもなかなか強い風が吹いている。岩の上に立つのは危険と判断し、 その場で写真を撮ってもらって降りた。
御岳手前から同行した登山者とはここで別れた。 そこからも厳しい岩場が現れた。おまけに、ルートが分かりづらい。時々間違った道 に入って岩に行く手を阻まれて戻ってきたりした。
エアリアのコースタイムの80%〜70%くらいで歩くつもりになっていたが、ほぼ コースタイム通りである。 赤岩のトラバースは岩場に鎖と桟敷のようなものが付いていたが、半分は崩れてし まっている。その場は命懸けのトラバースだった。
烏帽子岩を巻いて風穴尾根の頭に着いた時は、「もう沢山」という気分になってし まった。
ここから先は岩場はないと思うが、当初の予定では谷急山まで行くつもりだったが、 気力は完全に萎えていた。
結局、時間的にも体力的にもまだ限界まで余裕はあったが、新潟まで帰ることを考え ると谷急山は止めにした方がいいという気分になってきた。
P1まで来た時、そこで前進を止めてその場で昼食を摂り、下山することにした。
下山は入山に下るルートを取った。 このルートはこれまでの悪場の連続のルートとは打って変わって、歩きやすい登山道 だった。
しかし、落ち葉のために道が分かりづらかった。
三方境から1時間くらいで下山してきた。こんなに早く下山できるのだったら、谷急 山まで行っても充分行けたな、と考えても後の祭り。下ってきたものは仕方が無い。
入山にセットしてあった自転車に乗り、碓氷バイパスを横川の登山口まで戻ってき た。
碓氷バイパスは自転車通行可能の歩道があり、車を気にせず走ることが出来た。
帰りに磯部温泉のかんぽの宿で入浴して帰ってきた。
帰りに関越道から見た谷川連峰は既に雪で真っ白になっていた。
初めての関東の山は、ちょっと不完全燃焼に終わってしまった。


裏妙義のシンボル、丁須の頭

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