二王子岳

2001年9月9日、単独

コースタイム
6:10新潟市発=7:17二王子神社着7:23発−7:53二合目(水場)着7
:57発−8:41定高山(独標、五合目)着8:48発−9:48山頂着10:0
3発−10:56定高山(独標、五合目)着11:05発−11:35二合目(水
場)着11:40発−12:08二王子神社着=二王子そばやなぎや=新発田温泉
「あやめの湯」=15:00新潟市着

二王子岳は越後平野の東端に堂々と聳える山である。
懸命にやってきた仕事が思うように行かず、この月をもって、大幅に事業を縮小し、
私は退社する事になっていた。
毎日精神的に辛い日々が続き、山へ行く気力も萎えかけていたが、山へ行かねば益々
気力が落ち込むと自分自身に言い聞かせ、一番慣れ親しんでいる二王子岳に行く事に
した。
この山は4年前、登山を始めるきっかけになった山である。

朝、自宅を出発し収穫の時期を迎えつつある越後平野を東へ進んだ。
登山口の二王子神社に着くと既に駐車場は多くの車で埋まっていた。
多くの登山者が既に入っているようである。
私の車を片隅に止めて、拝殿に一礼し、登山届を出して歩き出した。
杉林の緩い登りが続き、一合目を過ぎるあたりから登りが急になり始める。
足場の悪い所には新しい土嚢や丸太で作られた階段が設置してあった。
二合目の水場で空の水筒に水を入れた。
水の勢いは弱く、1.5Lの水筒を半分入れるのに3分近くかかった。
三合目の一王子には避難小屋がある。私が21世紀を迎えたのはこの小屋だ。
休まずに通過した。
通称独標と呼ばれている定高山で休憩した。ここは五合目にあたる。
ここまでに多くの登山者を追い越してきた。
六合目手前の上の鴨池のあたりに沢山のあじさいが咲いていた。9月だというのにど
うした事だ。
七合目の急なざれ場は油こぼしと呼ばれている。急な斜面に草が生えていた。今まで
草など付いていただろうか。登山道の様子も年が経るにしたがって変わっていくもの
なのだろう。
八合目の標識を過ぎた所にお花畑が有る。
ここに水場が有るのだが、この時は水勢が弱く、水を得る事は出来なかった。
ここから一息で山頂だ。
期待していた飯豊の展望は核心部が雲に覆われていて見る事が出来なかった。
それでも、えぶり差岳から門内岳付近は見えていたし、胎内尾根や赤津山の稜線は見
えていた。
山頂はいささか風が強かったが、気温が高かった為、心地良い風だった。
少し休んだ後。下山を始めた。
目の前に黄色く色づいた越後平野と佐渡が浮かぶ日本海が広がっている。
登り同様、五合目と二合目で小休止をして、降りてきた。

下山後、4年前毎月二王子通いをしていた頃、下山したらよく行っていた、二王子そ
ば「やなぎ」にそばを食べに行った。
ちょうど昼時だった為か店はなかなか混んでいた。
以前と変わらず、素朴な美人の女将が注文を取りに来た。
へぎに盛られたそばも、味も変わらなかった。
しかし、店の内外で走り回っていた男の子が大きくなって、厨房で食器を一生懸命
洗っていた。小学校の高学年くらいになったか。
忙しい最中、「なんでもっと上手に洗えないの」という女将の声が店の中に響くが、
男の子はもくもくと洗っている。
その姿に何故か胸を打たれた。
自宅で親が商売をしていた少年時代の自分の姿が、男の子の姿に重なった。
「君が大きくなって、この店を継いだとしたら、その時はまた来るよ」と心の中でつ
ぶやいて、店を出た。

新潟県下越の山の目次へ戻る

ホームへ戻る

inserted by FC2 system