燕岳(途中撤退)

2002年1月1日〜3日、ヒロタン、がよちゃん、ふうたさん、吉田


コースタイム
1/1
3:07 中之島見附IC発=(北陸道、上信越道、長野道経由)=豊科IC=6:30 穂高 町宮城冬季林道ゲート着7:30発-13:35中房温泉着13:50発-14:40 第一ベンチ着(幕営)
1/2
7:10第一ベンチ発-7:50第2ベンチ着8:10発-9:55合戦小屋着10: 30発-11:30撤退(2620m地点)-11:50合戦小屋通過-(途中昼食)-13:5 5第一ベンチ着15:05発-15:20中房温泉着(幕営)
1/3
10:40中房温泉発-(途中昼食)-14:25林道冬季ゲート着=(宮城のペンション で入浴、穂高駅前「田舎家」にて食事)=長野道、上信越道、北陸道経由)=21:00 中之島見附IC着

山仲間のふうたさんより以前からこの正月3が日は山へ行こうと話があった。しか し、いろいろ紆余曲折があり、なかなかどこへ行くかさえも決まらなかった。
そこへ、インターネットを通して付き合っているヒロタンから北アルプスの燕岳の誘 いがあり、気になる経費の方も4人でテント利用で行けば、失業中の私も何とかいけ そうな感じだったので、参加させてもらうことにした。
メンバーはヒロタンをリーダーとして、がよちゃん、ふうたさん、私の4人だ。

(1/1)
元日の午前3時に中之島見附ICに集まり、一台の車で登山口を目指した。 豊科ICで高速を降り、登山口の中房温泉へ続く林道の冬季ゲート前に車を置いた。
まずは12kmの林道を中房温泉まで歩かねばならない。 山に登るのに何が苦手と聞かれると、林道歩き程いやなものは無い。
この長い林道を山スキーを使って歩こうと事前に打ち合わせしていた。 私は山スキーは持っていないので、ヒロタンが雪渓を滑る時に使うといっていたス キーを借りることになった。
ゲレンデスキーでは2級の腕前だが、山スキーの経験はない。 すぐにみんなに置いていかれてしまった。
優しいメンバーはすぐに待ってくれ、歩き 方のアドバイスをもらった。 ヒールが上がるのだからもっと大股で歩けばいいといわれ、そのように歩いたら、な かなか調子がいい。今度は軽快に進んでいった。
天気は快晴とは行かないが、まずまずの天気だ。天気予報では翌日冬型の気圧配置が 強まるとの事だったが、この時はまだ雪は降り出してはいなかった。
積雪はそれほどでもない上に、多くの登山者が入っているためかトレースがあるので 歩きやすいが、半分歩いた時にはもう歩くのがいやになってしまった。
そのうえ、後半はスキーのシールに雪がつき、スキーで歩ける状態ではなく、結局引 きずって歩くしかなかった。
がよちゃんやふうたさんのスキーも次々に同じような状態になり、後半ペースがダウ ンして、中房温泉まで6時間もかかってしまった。
1日目に合戦小屋まで行きたいところだったが、そこまでは無理だろう。風邪をひい ているがよちゃんの体調も悪そうだ。
そこで、第一ベンチに幕営することにして、合 戦尾根を登り始めた。
尾根の取り付きはなかなか急登だったが、越後の山に比べれば積雪は少なく、その 上、トレースも付いていることから、苦労することなく登ることが出来た。
長い林道歩きから開放されて、自然と歌でも口ずさみたくなる気分になった。
その晩は第一ベンチに幕営して、4人で楽しい夜を過ごした。
山の中とは思えない、贅沢な酒と食事。食事担当のがよちゃんの腕前はさすがだっ た。

(1/2)
第一ベンチの幕営地を出る頃は小雪がj舞っていたが、風はそう強くはなかった。
必要 なものだけ持って合戦尾根を登り始めた。
この日の天気予報はよくない。それよりも心配なのは風邪をひいているがよちゃんの 体調だ。行ける所まで行こうということで歩き出した。
昨晩の雪が少し積もっていたが、トレースは消えていない。まもなく、第2ベンチよ り引き返してきたパーティーのおかげでしっかりしたトレースの上を歩くことが出来 た。 第2ベンチでアイゼンを付けた。 そこからはふうたさんがトップを歩くがなかなか付いていけない。 彼の体力にはかなわない。どんどん引き離されていった。
その他3人はマイペースで 付いていこうとゆっくりと登っていった。
急な登りが続いた。
下山する人にも多くすれ違った。 富士見ベンチで休もうと登っていったが、ベンチは分からなかった。きっと雪で埋 まっているのだろう。 登りがゆるくなり始めたところでふうたさんは待っていてくれた。
それよりも風邪をひいているがよちゃんは顔色が悪くなっている。かなり苦しそう だ。
そこからまもなくで合戦小屋に着いた。合戦小屋は冬季閉鎖中で中には入れなかっ た。
ザックにつけてある温度計を見ると-20゜Cを指していた。雪も風も強くなり始めてい た。
がよちゃんの体調から考えるとここで撤退かなと思っていたが、リーダーのヒロタン はもう少し進むという、がよちゃん本人も反対していないからいいのかなと思った が、私自身まだ歩きたいので同意した。
夏道なら燕山荘まで1時間の距離だ。 防寒対策に目出帽をかぶった。他のメンバーは防寒着を着込んでいた。私は目出帽以 外はこれまでと同じ格好で登ることにした。
合戦沢の頭に出ると風は強くなっていた。しかし、燕山荘スタッフが設置した旗竿が 短い間隔で立っているので、ルートははっきりしている。 時折強い風が吹いて視界がなくなるが、30m-50mくらいは視界があった。
それよりもがよちゃんが苦しそうだ。
ふうたさんがトップで歩き、2番手がヒロタ ン、そして、がよちゃん、私の順に歩いていたが、前を行く二人が心配して振り返 る。
11時半頃、ヒロタンががよちゃんの顔色を見て(何か話していたのかな)降りようと いう事になった。 岩があるところから少し登ったところだから、2620m付近だろう。燕山荘までは 間近の距離だったかもしれない。
それでも、がよちゃんの体調だけでなく、天候も荒れはじめている。 この時点での撤退が最善の決断だったと思う。
隊列をそのまま引き返して、私がトップで降りはじめた。 先ほどまでの我々のトレースはすでに消えていた。 トレースをはずすともぐるので歩きにくいが、旗竿や木のテープを目印に下っていっ た。
振り返るとがよちゃんのすぐ前をヒロタンが歩いている。後で聞いたが、体調悪い時 は先行者の背中が見えるだけでも安心するからすぐ前を歩いたのだとか。さすが経験 豊富なヒロタンだ。
合戦沢の頭で後続を待って、合戦小屋に向かって下り始めた。 この辺りからはトレースが残っていた。そうなれば、早く下りたいので、すたこら さっさと下っていた。
合戦小屋で昼食かなと思ったが、もう少し下ってから昼食にしようという事になっ た。そして、風の弱い傾斜のテラスのようなところでツェルトにもぐって昼食にし た。防寒着を着ていない私はツェルトの中でも寒くて震えていた。
第一ベンチのテント場まで一気に下り、テントを撤収して中房温泉まで降りた。 この日は中房温泉で幕営し、暖かい温泉で体を温めた。
この日の夜も豪華な酒と食事で楽しい一夜を過ごすことが出来た。

(1/3)
この日は林道をスキーで滑って降りるだけだ。ゆっくり朝を過ごして出発した。
山スキーは初めてだ。スキーを装着して滑ろうとしたが全然進まない。 ソールを見ると雪がべったり付いている。ろうそくの蝋を塗って見たがなかなか思う ようにいかない。何度も何度も塗って漸く滑り出した。
ゲレンデでのスキーはベテランの域だが、山スキーは初めてだ。 しかし、やっぱり滑らない、もう一度蝋を塗った。 傾斜もゆるいことから、ヒールをフリーにした状態で進むことにした。
ゲレンデスキーと違い、登山靴にそのまま装着しているため、意識的に膝を前に出さ ないとバランスが取りづらい。また、ヒールをフリーにしているためターンの時の荷 重をかけるポイントに気をつけて滑った。
途中で何度か蝋を塗りなおした。 下りなのに歩かなければなかなか前に進まないのも大変だ。 ふうたさんのスキーは新品のためぐんぐん滑るようだ。先行してもらった。
下りは登りより楽とはいえ、12kmの林道はやっぱり長かった。
車を止めたゲート前のペンションで風呂に入って休憩した。
そして、そばでも食おうということになったので、10年前や20年前にこの地に観 光に来た時に行って、印象に残っている穂高駅前の「田舎家」に行って食事をした。 小さい障子戸を開けてはいるという個性的な店だ。
そして、雪の降る高速道を慎重に運転して帰ってきた。
初めての厳冬期の北アルプス。山頂に立つという目的は達成できなかったが、学ぶと ころの多い山行であり、また、楽しい山行でもあった。


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