倉谷山


2002年3月13日、単独



コースタイム
4:15新潟市発=6:00室谷除雪終了地点着6:20発-7:35倉谷沢渡渉地点 着7:55発-9:30 544mピーク着9:40発-10:25 683mピーク着1 0:35発-11:32倉谷山着11:45発-12:33 683mピーク着12: 38発-13:10 544mピーク着13:17発-14:10倉谷沢渡渉地点着1 4:23発-15:53室谷除雪終了地点着=御神楽温泉みかぐら荘=18:40新 潟市着

残雪期は藪山攻略のチャンスだ。
昨年、会の山行での下山路の予定だった倉谷山。その下見のときに倉谷沢の渡渉が出 来ずに撤退しそれ以来宿題になっていた。

上川村室谷の奥のかやぶきの里で除雪は終了していた。しかし、キャタピラの跡が伸 びている。倉谷沢出合いまでこの跡が伸びていればという期待を持って歩き始めた が、歩き始めて8分くらいのところでパワーショベルが止まっていて、トレースもそ こまでだった。
そこから先は数日前のトレースがあったが歩く助けにはならない。途中でわかんを装 着した。
林道に山肌が迫っている部分は雪崩危険地帯だ。 林道の上にデブリがのしかかっている。滑れば谷底まで落ちる。わかんをはずしピッ ケルを使って通過した。
魚止山の方向に伸びる林道を分けると渡渉地点はもうすぐだ。



<倉谷沢渡渉地点、右側にダムがある。対岸にはしごがあるのが分かるだろうか。>


渡渉方法はいろいろ想定していたが、まずは砂防ダムの下の部分を渡るためその地点 に行った。
対岸にはしごがかかっていて、渡り終えてからの取り付きも出来そうだ。 ビニール袋を足につけてダブルストックで歩き出した。 水は足首くらいで歩くのには支障はない。しかし、すぐにビニール袋が破けたが、靴 の中までは浸水してこなかった。
はしごを使って対岸を登り、渡渉用に用意してきたザイル(使わなかった)とストッ クをその場に置いていった。
急な登りを少し登ると杉の植林帯に出た。おそらくあのはしごは林業の関係者が置い たものだろう。 雪が緩んでいたのでわかんをつけた。出来れば駒形山まで行きたかったが、この雪の 状態だと無理かなとこの時に判断した。
杉林の中をどんどん高度を稼いでいった。尾根が痩せている部分は雪が落ちていた が、明瞭な道がついていた。 振り返ると傘山と御神楽岳が立派に見える。 杉の植林帯は544mピークの先まで続いていた。
凛々しい姿の太郎山と魚止山を右に見ながら緩やかな登りを登っていく。 高度が上がるにつれて雪もしまってきたが、そのままわかんを付けて歩いた。
544mピークを過ぎ、鞍部から登り返した所に小屋があった。そばにアンテナもあ る。屋根には何もなかったが、おそらく雨量計が設置されていた場所だろう。雪がな い時期に設置されるのだろうか?
広いブナ林の尾根道を登っていく。 倉谷山手前の730mピークに差し掛かった時、その先の状況を見てわかんをはずし た。 尾根が痩せていて、雪庇が出来ており、稜線上は雪がなく、藪こぎが予想されたため だ。
730mピークに来て初めて倉谷山が現れた。 左下には室谷川が見え、そこにある砂防ダムが見える。その砂防ダムから伸びる尾根 上に倉谷山はある。地形図を読んでそのように山を特定した。
雪の上を歩いたり、藪道を歩いたりしながら登っていった。藪の中には鉈目があっ た。
倉谷山山頂は大きな雪庇が出来ていた。 尾根上の一ピークに過ぎない山である。尾根は駒形山まで続いている。

<御神楽岳>


魚止山の左に矢筈岳の双耳峰が頭を出していた。 駒形山から東岐山、狢ケ森山、日尊の倉山を経て御神楽岳に続く稜線が手に取るよう に見える。 登ってきた方向の先に飯豊山が見えていたが、あいにく雲がかかっていた。
おにぎりを食べてすぐに下山を開始した。 最近靴が変形したのか下るときにくるぶしが当たって痛い。あたる部分にガーゼをあ てて歩いた。
隣のピークまでは藪こぎ主体だ。 730mピークでわかんを付けた。気温が上がっているため雪が緩んでいる。
683mピークに着いたとき、大音響で雪崩の音がした。帰りの林道には雪崩の危険 地帯がある。いやな予感がした。
そこから下っている途中でも雪崩の音がした。
渡渉地点でデポした荷物を回収し、行きと同じくビニール袋に足を突っ込んで、ダブ ルストックで渡渉した。
雪崩の危険地帯に差し掛かる。気温が上がって雪が緩んでいたためデブリの通過も簡 単に出来た。

<危うく巻き込まれそうになった雪崩。私は写真の左奥の辺りにいた。>

いくつかのデブリを乗り越えて、次のデブリに差し掛かろうとした時、木のざわめく 音がした。 とっさに雪崩と判断し、周囲の地形を見ると自分の立ち位置なら雪崩に巻き込まれる 心配はないと判断。歩くのを止めた。
次の瞬間、雪玉が数個落ちてきた。そして、数秒後「ゴーッ」という音がしたかと思 うと、大規模な雪崩が落ちてきた。頭上を見るとこちらにも向かっているようだ。 「やばい」と思ったが、頭上の流れは向きを変えて目の前のデブリの方向に流れて いった。 幅20mくらいの大規模な雪崩が岩のような雪の塊をいくつも乗せて落ちていった。 時間は数十秒だったかもしれないが、長く感じた。
雪崩が収まり、音が消えてから歩き出した。
その後も雪崩にびくびくしながら祈るように雪崩の危険地帯を通過した。
最後の林道歩きは長く感じた。
暖冬で春の訪れが早いと思われたが、やはり3月の雪はまだまだ緩いようだ。


新潟県下越の山の目次へ戻る

ホームへ戻る

inserted by FC2 system