鬼が面山、浅草岳

2002年7月7日、単独

コースタイム
4:00新潟市発=三条、見附、榎峠、栃尾経由=6:00六十里越登山口着6:10発-6:32六十里越峠通過-6:44電波塔通過-7:31南岳着7:38発-7:58鬼が面山着8:05発-8:23北岳通過-8:44ムジナ沢カッチ通過-9:20前岳着9:28発-9:35浅草岳着10:00発-10:35ムジナ沢カッチ着10:42発-11:07北岳着11:14発-11:32鬼が面山着11:50発-12:09南岳通過-12:40電波塔着12:45発-12:59六十里越峠通過-13:20登山口着=洞窟風呂=栃尾、下田、三条経由=17:00新潟市着


 浅草岳は登山を始めた年に一度登り、この年の3月にも前岳の直下までスキーで登っているが、浅草岳から南の県境稜線上にある鬼が面山は前から気になっていたが、まだ訪れたことは無かった。
 5月末に腰を痛め、治療の段階で背骨を痛め、腰や背中を曲げると痛みが走る日々が続いていたが、このところ随分と良くなってきた。しかし、仕事も繁忙期に入り、毎日重い荷物を担いでいるので、なかなか思うように良くならない。
 でも、腰さえ曲げなければ痛みは出ない、腰を曲げずに登れる山に行こうと考えた。
 手を使うような急な箇所がある山や、藪っぽい道は歩けない。斜度が緩くきちんと整備された登山道がいい。
 しかし、短いコースでは物足りない。いろいろ考えているうちに六十里越から鬼が面山を経由して浅草岳に行くことにした。このコースなら歩いたことは無いが、地形図から判断するに急な箇所はあまり無い、また、ガイドブックにも紹介されていることから道は整備されていることが想像できた。

 思ったより早く登山口の六十里越のトンネルの入口に着いた。登山口はトンネルの入口より少し下がったところにある。トンネル脇の駐車場に車を止めて歩き出した。
 この日は久々のロングコースである。意識的にゆっくりとしたペースで歩き出す。峠の登りでは送電線の巡視路が所々枝分かれしていた。六十里越の峠の上で北に進路を変え、県境稜線上を歩き出した。少し上がった送電線の鉄塔のある刈り払われた場所から展望が広がった。会津側は田子倉湖を隠すように雲の湖が出来、村杉半島の稜線が文字通り半島のように雲の湖に突き出た半島のように見えた。そして、谷筋に雪を残す毛猛山が朝日に照らされていた。
 そこからしばらくはぶなの樹林帯を進む。坂は急だが道はジグザグに切ってあるので足の負担は少ない。歩きやすい道だ。
 ウグイスやホトトギスなどの鳥のさえずりと、ヒグラシの物悲しい鳴き声が森のシンフォニーを奏でている。ブナの葉が強い日差しを遮って暑く感じない。
 いきなり白い建物のある広場に出た。電波塔のようだ。ここから一旦少し下り、緩やかな坂を再び登り始めた。相変わらず樹林帯の登りだ。
 樹林帯を抜けると間もなく南岳に着いた。ここで初めてザックをおろして休憩した。しばらくぶりのロングコースになるが、体の調子はいいようだ。
 それにしても展望が素晴らしい。特に会津側は遮る物が無く遠くの山々まで見渡せる。いつのまにか田子倉湖を覆っていた雲も消え、湖水が見渡せる。樹林帯を抜けたことで強い日差しをもろに受けて暑くなるが、この素晴らしい展望が心を癒してくれる。
 緩やかな登り一息で鬼が面山に着いた。越後側は藪で景色は見えないが、会津側は素晴らしい展望だ。ただ、展望図を忘れたため細部まで山の名前が分からない。吾妻連峰、磐梯山、会津駒、燧ケ岳、越後三山などは分かった。
 鬼が面という名は会津側から見た山容から名づけられたのだろう。鬼が面の頂上にいるということは、鬼の頭の上に乗っている事になる。昔流行ったロボットヒーローの操縦席にいる気分になった。
 体調が思わしくなければここで引き返すつもりだったが、体調は悪くない。浅草岳を目指すことにした。
 ヒメサユリを初めとする可憐な花々が登山道に彩を添えている。そして、遮るものの無い素晴らしい展望を見ながらの歩きはとても気分が良かった。しかし、梅雨の晴れ間の日差しは強く、日陰が少ないことから少々ばて気味だ、歩くペースも少し落ちてきた。
 北岳、ムジナ沢カッチと小さいピークがいくつかある。標高差は小さいが、暑くてばて気味の体には辛いものがある。
 前岳の登りに差し掛かると、桜曾根コースの登山者が見えてくる。浅草岳のメインルートだ。前岳を越えたところで合流した。
 前岳の合流地点近くに残雪が残っていた。少々汚れていたが、水が不足気味だったのでコップですくって水筒に入れた。これからは夏山なのだ、水は大目に用意しなければいけない。
 気持ちのいい草原の木道を行くと、一等三角点の山頂に着いた。山頂は多くの登山者で埋まっていた。
 展望が素晴らしい、浅草岳の山頂に立つのは2回目だが、前回はガスのため展望が利かなかったのだ。
 北には雄大な飯豊連峰、そして、吾妻連峰と磐梯山、会津の山々、会津駒、燧ケ岳、日光白根山、越後三山、そして、すぐ近くに守門岳。展望図を持ってこなかったことが悔やまれた。
 腰を下ろしてビールで一人乾杯した。腰を下ろすときはどうしても背中を丸くするので、背中に痛みが走らないよう患部にコルセットを巻いた。まるで腹巻をしている様である。
 軽い食事をして、景色を堪能した後コルセットをはずし、下山に移った。往路下山だが下山も登り返しが多く長い。
 鬼が面山までは登りとほぼおなじペースだった。暑さのためばて気味である。
 鬼が面山で数名のパーティーに出会った。ちょうど出発するところのようだった。彼等は浅草岳まで行かず、鬼が面で引き返すそうだ。六十里越から鬼が面までなら、気持ちのいいハイキングの範疇だろう。
 それにしても、登山者の少ない静かな登山道だ。不必要な熊よけの鈴やラジオの音などは全く聞こえない。小鳥のさえずりだけが山々に響き渡っている。
 いつの間にか空が曇り始めてきた。暑かったから好都合だ。
 南岳の下りで樹林帯に入る。景色は見えなくなるが、日陰で涼しくていい。久々のロングコースで足に疲れが出始めてきた。でも、下りの傾斜も緩いので腰に負担がかからない。
 電波塔のピークには「越後の山旅」には水場があると書かれていた。周囲を探してみるが、電波塔の敷地の登山道と反対側の南の角から下る踏み跡があった。これが水場へ通じる道だろうか。しかし、ここまで来れば登山口まで近い。踏み跡へは足を踏み入れず、登山道を下っていった。
 峠より越後側に少し下ったところの沢で顔を荒い、水を飲み、暑さでばて気味の体を冷やした。
 そこから間もなく、登山口に戻って来た。
 帰りに洞窟風呂に寄って汗を流したが、洞窟風呂まで登る階段の登りが辛かった。

田子倉湖と会津の山々 鬼が面から浅草岳を望む 浅草岳山頂

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