加治川支流袖ノ沢(焼峰山)

2002年9月8日、ヒロタン、ふうたさん、吉田

コースタイム
7:20焼峰袖ノ沢登山口発-7:25入渓-15:40焼峰山山頂着16:30発-18:00加治川ダム着

 飯豊連峰の前衛の焼峰山に突き上げる沢は、花崗岩の岩盤を多くの滝を掛けながら流れ落ち、沢の愛好家たちのいいフィールドになっている。私も昨年沢を始めて2回目で焼峰に突き上げるウジノ沢を遡行し、苦労しながらも楽しい滝の連続でまた行って見たいと思うようになった。
 今回リーダーのヒロタンとは別の沢を約束していたが、私の我儘なお願いから行く先を変更してもらい、短くても内容が濃いといううわさを聞いていた袖ノ沢を遡行することになった。

 前夜加治川治水ダムの駐車場に集まって宴会し、少々飲みすぎて酔っ払ってしまった。
 朝目が覚めると頭が痛く完全に二日酔いだ。私は車の中で寝たが、宴会をしたテントの中を覗くと誰もいない、結局みなそれぞれの車の中で寝たようだった。
 ヒロタンやふうたさんの車をダムの駐車場に置き、私の車で入渓地点に近い焼峰の袖ノ沢登山口に車を移動した。
 今回は白山書房の「日本の渓谷'96」に記載されている「童人トマノ風」の記録を参考にさせていただいた。彼等は加治川本流にかかる橋から袖ノ沢の出合まで行き、懸垂下降で入渓しているが、我々は袖ノ沢口の登山道のある尾根の末端を越えて入渓する作戦を立てた。
 入口だけ藪っぽい登山道に入り、尾根を登る登山道を分けると、袖ノ沢と平行して整備された道が伸びていた。何故こんな所に道があるのか分からないままその道を上流方向に歩いていった。すると、沢に堰堤があり、そこで沢に下りることが出来た。どうやら堰堤のための道のようだった。
 ここで最初のゴルジュの分だけ距離を稼いだことになる。
 水量は少ない、集水面積からしてこんなもんだろう。すぐに4m〜6mの滝がいくつか現れ楽しい沢登になった。ヒロタンと沢登りをするのは初めてだが、さすがにベテランらしく軽々とした身のこなした。ただ、驚いたことに彼は半そで半ズボンでの遡行だ。渓流スパッツをあてているとはいえ、よほど皮膚が丈夫なのだろうか?私も最近は半そででの遡行が多いが、だいたい終了すると両腕は傷だらけになっているのだ。
 いくつかの滝を越えると大きな釜をもった8mくらいの滝が現れた。釜の右岸をへつり、ふうたさんが最初に左壁を直登していった。ところが半分くらいの所でなかなか登れない、良く見ると右壁の方が登りやすそうだ。私は釜を対岸に泳いで渡り、右壁を登っていった。結局みんな泳いで同じルートをたどったようだ。
 いきなり堰堤が現れた。突然の人工物に驚いたが、これまでもさびた鉄パイプやトロッコの車輪やレールなども散らばっていた。昔はこのあたりに鉱山でもあったのだろうか?
 体力を使う高巻は出来るだけしたくなかったが、登れそうもない滝が現れ始め高巻をする機会が増えてきた。
 幅1mのゴルジュを越えると20m×2段の滝が現れ高巻をする。高巻を終えて沢床に降りるとすぐ、正面は涸れた沢になり右壁を水道の蛇口から水が出ているように水を飛ばした50mの滝が現れた。本流はこちらだ。どう見ても登れそうになく高巻ルートを見るが、草付の急斜面を登るより手はないようだ。少し登ってみたが足場が悪くザイルを出すことにした。ヒロタンが先頭で登って潅木にビレイを取り、足場の安全なところまで登ってから、私とふうたさんが登った。そこからの高巻は藪の中だったが、結構足場が悪くてこずった。
 高巻を終えて沢床に降りると人ひとりがやっと通れるくらいの幅70cmのゴルジュがあった。最初の滝をヒロタンがつっぱりで越えて、私が後に続こうとしたが、ヒロタンが戻ってきてその先にある滝は登れそうもないという。結局戻ってこのゴルジュは巻いた。これも結構大高巻になった。
 高巻は体力を消耗する。意識的にゆっくり歩いた。
 右から枝沢を流入し、その先に10mくらいの滝が現れた。登れそうな気がしたが、落ち口付近に手がかりがないように思え、私はさっさと右岸を高巻いた、しかし、ヒロタンやふうたさんは登るという。私の持っている10mのお助け紐をたらしてみたがとどかない。そのお助け紐でヒロタンの持っている50mのザイルを引っ張り挙げて近くの潅木を束ねて支点をとり、確保しながらヒロタンとふうたさんは登ってきた。この二人の登攀力は大したものだ。
 その先の12mの滝では、ヒロタンがザイルで確保し、残置ハーケンに支点を取って登っていったが、途中で苦労し、結局その場から降りてきた。童人トマの風の記録では沢床から100mの大高巻をしているが、我々は右岸を小さく高巻いて滝上に出た。しかし、この高巻も岩の直登の場面があり、ザイルで確保しての登りになった。
 その上の30mの滝も右岸を高巻、この高巻ルートは踏み跡があって楽だった。
 そこから先は直登出来る滝は少くなって行き、高巻をする割合が多くなってきた。
 源頭が近くなり水量が減ってきても登れる滝は少なかった。15mほどの滝をどう登ろうか考えている時、大粒の雨が降ってきた。源頭が近いので水量が増えても大したことは無いが、時間も押している事から、我々は沢から離れて藪こぎで登ることにした。
 雨の中の藪こぎで全身ずぶ濡れになったが、雨はやがて止んだ。途中からうっすらと踏み跡が出てきた。最後は草付とザレ場の斜面を登って焼峰山頂に詰め上げた。
 山頂に着いたときは青空さえ覗き始めていた。入渓してから8時間が経過していた。
 待ちに待った乾杯をして喉を潤した。周囲の景色は雲に隠れて全く見えないが厳しい沢を登り終えた充実感でいっぱいだ。
 下山は焼峰の頭を経由して加治川治水ダムに下る登山道を下った。ダムに着く頃には薄暗くなり始めていた。

入渓後まもなくのへつり 50m滝。水道の蛇口から水が出ているようだ、草付の急な斜面を登って、大高巻する 滝を登るヒロタン。でも、この滝は登れなかった。

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