竹ノ倉山

2003年2月16日、単独

コースタイム
8:45水沢発-11:40竹ノ倉山着12:10発-13:25林道出合-15:00水沢着

 竹ノ倉山は鹿瀬町の日出谷地区の背後に聳える山で、低山ではあるが麓の水沢集落より眺めるとその姿は凛々しい。
 以前残雪期に登ったことがあり、この次は大段山だなと思っていながら後回しになっていた。大段山へ登るルートを見ると、竹ノ倉山より上の峠へ抜けて、そこから登るルートが考えられる。雪の量の多いときに山スキーで行ってみようと考え、今回の計画を立てた。
 しかし、前日の宴会の影響で朝早く起きることが出来ず、結局竹ノ倉山より上の峠の林道に出て林道を降りるだけのコースとなった。だか、実際はなかなか苦労した山行となってしまった。

 入山口は水沢集落の奥の簡易水道の施設だ。来てみると林道の除雪はまだ先まで伸びている。下山はこの長走林道を降りてくる予定なので、どこまで除雪されているか見に行った。500mくらい奥で除雪は終了していた。
 スキーにシールをつけて歩き出す。わかんもザックにくくりつけている。天気は曇りだ。
 施設の反対側の林道を入るが、ショートカットするため左手の斜面を登って林道の上の部分にでた。そかから少し林道を進んで適当なところから右手の斜面を登っていった。
 スキーだと少々の藪でも苦労する。しかし、尾根に上がれば快適なシール歩行だ。所々杉林に入るが、ブナやナラが主体の雑木林は見とおしが効き、少々の藪でも尾根が広いためよけるのには苦労はしない。
 進行方向に目指す竹ノ倉山が望め、左手には棒掛山が樹間から伺えた。
 しかし、快適な歩行はそう長くは続かない。
 急なところは藪が濃くスキーをはずさなければならなくなった。
 最初の急登は手にスキーやストックを持って壷足で登った。しかし、枝にスキーがあたって中々登れない。足場も悪い。ほんの標高差50mを登るのに30分も要してしまった。
 いったん斜度が緩くなったので再びスキーを履く。しかし、間もなくまた急登になった。藪が薄ければ何とか登れるが、藪が濃くそう思うようには行かない。スキーをはずし、ワカンに履き替えて登ることにした。スキーは紐でしばってひとまとめにし、ストックは分解しザックに入れた。
 わかんをつけても膝までもぐる。ラッセルの交代要員はいないばかりかスキーという荷物がある。おまけに藪こぎだ。スキーは邪魔なので上に投げ上げては数歩歩き、また投げ上げることを繰り返した。両手で木を持ちながらじゃないと登れないのだ。しかし、スキーを投げても藪にひっかかり、ちょっとしか投げられない。
 やがて山頂が近づきうるさい藪がなくなってくると、再びスキーを装着した。標高差150m登るのに1時間も要してしまった。そして、雪が降り出した。
 山頂に着くと雪は激しくなり、谷を挟んで対峙している大段山は見えなくなった。
 とりあえずツェルトを張ってもぐりこみ昼食とした。この日はまだ先があるので山頂といえどもビールは無しだ。
 雪は更に激しくなったが、視界は良好だ。進むべき尾根ははっきり見える。
 昼食後、上ノ峠方向に歩き出した。まだシールはつけたままだ。林道に出るまではシールを着けたままで行く作戦だ。
 最初の稜線上は松ノ木がうるさかったが、鞍部を過ぎるとブナを中心とした広葉樹林帯に入り、アップダウンも緩やかで快適なシール歩行が出来た。
 しかし、思ったより時間がかかっている。上ノ峠もやめて林道に出たらすぐに下山することにした。
 そろそろ林道に出ようかとするところで尾根が切れ落ちていた。スキーをはずそうかとも考えたが、回り込んで斜滑降で降りようと思い適当な斜面に向かった。いざ斜滑降をしようとしたところ、足元の雪が崩れ滑落してしまった。雪の上で何度か回転して止まった。切れ落ちた斜面の下は斜度が緩かったのが良かった。上を見上げると崩れた部分は小さい岩場になっていた。岩についた雪を斜滑降しようとしたのだ崩れて落ちるのは当然だ。左腰と左肘を強打したようでその部分が痛い。でも、足首や膝は何でもなかった。こんなところで骨折したら救助は呼べない、単独行の怖いところだ。
 見るとストックが一本岩場の下に落ちている。どうやら落ちた拍子に手から離れたようだ。スキーをはずして壷足でストックを拾いに行った。
 そろそろ林道に出る頃なのだが、あたりは緩く広がった杉林で、樹間が広くどこに林道が走っているかわからない。こうも林道が判り難いとは思ってもいなかった。地形図を取り出し現在地を確認し、真西に向かえば林道に出れると判断し、歩いてみた。
 何とか山を削ったところが雪の下に出ているところを発見し、林道に出ることが出来た。しかし、そこは確かに林道だが、林道がどこをどう走っているかがわからない。とりあえずお茶を飲んでスキーのシールをはずして周囲の地形を良く観察した。
 雪は降っているものの視界は100以上はある。10分ほど周囲の地形を凝視した。雪面を良く見ていると少しくぼんだところがあるのを見つけた。おそらく地表に水が流れていて、その部分だけ雪がくぼんでいるのだろう。その水の流れが林道だとしたらと考えた。とりあえずそのくぼ地に沿って歩き始めた。
 周囲は樹間の広い杉林、斜度も緩く林道を無視して滑れば快適なスキーが出来るだろう。しかし、せっかく乗った林道から離れてしまえばもう戻れないかもしれない。林道からはずれて下れば沢に降りてしまう。沢の下降は危険だ。
 案の定、そのくぼみに沿って歩くと山を削ったところや標柱なども現れ、林道で間違いなかった。それでも、少し歩いては地形図を確認していた。
 杉林を抜けると山の斜面が急になり、林道の形もはっきりし始めた。スキーのシールははずしているが、斜度が緩くスケーティングを多用しなければならないためヒールはフリーのままだ。
 水沢川の本流を越えると、林道はデブリで埋まっていた。雪崩の多発地帯のようだ。緊張しながら進む。しかし、わかんの足跡が始まった。
 デブリ地帯を抜けると後はもう危険なところは無い、その上、人のトレースがあって安心だ。
 棒掛山方向に行く林道と合流し、水沢川の橋を渡れば、除雪終了地点はまもなくだ。
 除雪終了地点でスキーをはずし、アスファルトの感触を確かめながら歩いて戻った。
 竹ノ倉山の冬季周遊コース。一筋縄では行かない大変なコースだった。
 
 

登る途中から見上げた竹ノ倉山

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