足沢山、太郎助山

2003年4月20日、豊栄山岳会月例山行

コースタイム
5:57足沢の林道入り口-8:38足沢山着8:55発-11:00太郎助山着12:05発-13:45足沢山-15:10足沢の林道入り口着

 信濃川の支流破間川の南側から黒又川の源流域の山塊を毛猛山塊と呼ぶ。登山道のある山は南部の未丈ガ岳一座だけであり、その他は藪に覆われた山々の集まりである。そして、東を田子倉湖、西を黒又側のダム郡でふさがれて、この山はまるで難攻不落の山城の様相を呈している。
 わずかに残雪期のみ攻略チャンスがやってくるが、主峰毛猛山は奥深いところに位置しており、精鋭パーティーにだけにしか到達することの出来ない山なのである。
 昨年中山さんが日帰りで毛猛山登頂に成功した。その山行をこの年の会の山行で再現することになり、私も参加させてもらうこととなった。

 前夜のうちに入山口近くの国道のスノーシェッド内にテントを張り幕営した。
 天候はよくない。日本には前線が停滞しており山行当日も晴れる見込みは無かった。ベテランの進言を要れ当初4時起床5時出発の予定であったが、1時間遅らせて5時起床6時出発とし、目標を毛猛山から太郎助山に切り替える事となった。
 私は天候の判断は当日朝するものだと思ったが、ベテラン諸氏に反抗しても仕方がない。私はリーダーでもサブリーダーでもないのでその判断に従った。事実メンバーの顔ぶれを見て、日帰り毛猛は難しいと当初から思っていたのでこの判断はかえってよかったかもしれない。 

 朝5時に目を覚ましてみると、雨は降っておらず山々もガスはかかっておらずに曇ってはいるものの条件は悪くは無かった。
 テントを撤収して足沢の林道分岐点に車で移動して、そこから歩き始めた。
 増水した末沢川をコンクリートの橋で渡り、只見線の線路を歩き洞門をくぐって尾根に取り付いた。この尾根には熊狩衆が付けた物か登山道がある。ブナ林の残雪を使って高度を上げ、尾根上の登山道に出た。尾根に進むと目指す太郎助山が間近に見える。
 542mの標高点は知らぬうちに過ぎるが、762mのピークまでは急な登りだ。リーダーがパーティーを引っ張る。鬼ガ面山の姿がきれいに見える。
 雪の上の歩行のつもりがほとんど夏道歩行だった。762mを過ぎると登りは緩やかになった。少々藪が体に当たるが快適な登山道だ。
 足沢山手前の斜面より尾根幅も広がり快適な雪上歩行になった。振り返ると守門岳が綺麗な姿を見せている。浅草岳はガスの中だが手前のムジナ沢の頭が見えていた。
 足沢山からは黒又川流域の山々が望まれ、権現堂山の稜線も望めた。そして、何よりも目を引くのは鋭角に尖った桧岳の雄姿だ。

 そこからは雪の上の歩きが多くなった。鞍部付近にはテントが1張り張ってあった。そこから太郎助山方向に新しい足跡が伸びていた。
 稜線上には踏み跡があるが、足沢山手前のものと比べるとだいぶ藪っぽくなった。
 メンバーの一人が足を滑らせて滑落したり、シュルンドに落ちたりとアクシデントはあったが、そこは訓練を受けているメンバーだ、大事には至らない。
 太郎助山が近づいてきたら、私はパーティーの後方に位置していたが、前方に移動し中山リーダーとともに早めに登るべくピッチを上げた。
 太郎助山手前の藪の中でいきなり女性登山者が現れた。どうやらあのテントの主のようだ。ご夫婦で来られているようだが、ご主人はテントで留守番だそうだ。当然毛猛まて行ったかと思い聞いてみると、太郎助山で引き返したそうだ。
 太郎助山山頂はほぼ雪に覆われていたが、その隅に三角点が顔を出していた。そばには朽ち果てた山頂の標柱が倒れていた。
 少し経つと先ほどの女性登山者も戻ってきた。そして、続々と我隊のメンバーが集まってきた。少々遅れ気味のメンバーも全員が太郎助山に集まった。
 遠くの山は雲がかかって見えなかったが、毛猛山〜百字ガ岳の連峰は間近に見え、浅草岳や守門岳といった山もきれいに見えた。
 ちょうどいいのでその女性登山者にカメラのシャッターを押してもらって全員で記念撮影をした。
 風の当たらないところに陣取って昼食を摂り、下山を開始した。
 下山途中からガスが下から上がってきて、足沢山手前より雨も降り出し、ガスと雨の中の行動となった。先ほどのご夫婦も一緒の行動である。
 雪の上は快適に降りられるが、土の道はかえって滑りやすくて歩きにくい。いつしかガスの下に抜けた。
 最後は只見線の線路を歩き、末沢川を橋で渡って戻ってきた。

 太郎助山から見た毛猛山は登山意欲をそそられる。早い機会に再トライしたいと思った。

足沢山まではしっかりした道形があった。
イワウチワが咲き乱れていた
足沢山山頂の風景。背景は太郎助山(左)と百字ガ岳
太郎助山より見た毛猛山、中岳、百字ガ岳
間近に見える。
太郎助山の三角点、
そばに倒れているのは朽ち果てた山頂標識

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