馬ノ髪山、俎倉山

2003年5月18日、てくてくの会のメンバー10人

コースタイム
8:10馬ノ髪山登山口発-9:25馬ノ髪山着9:50発-12:55俎倉山着14:30発-16:07俎倉山琴沢登山口着

 この日はインターネットでお付き合いのあるとんとんさんの主催するてくてくの会のメンバーに、読図の講習を兼ねての山行だ。地形図に道の記載の無いところを歩いて、現地で現在地を特定し、地形図に書き込んでいくという手法で教えようと、馬ノ髪山〜俎倉山のルートを選んだ。
 馬ノ髪山や俎倉山はしっかりした登山道があるが、私の得た情報では、馬ノ髪山と俎倉山の間に道がつけられたらしいと言うことで、藪こぎなしで縦走できると考えていた。(しかし、ちょっと甘かった)

 早朝、杉滝岩で希望者4名でロープワークの練習をした。時間が短かったので、とにかくロープを使って下れるようにと、懸垂下降が出来ることを目指した内容にした。
 8の字結びの結び方、ハーネスへの結び方、立木への支点の取り方、そして、エイト環を使った懸垂下降、そして、肩からみの懸垂下降とメニューをこなした

 7時に内の倉ダムに集合しているメンバーと合流し、俎倉山登山口の琴沢に向かった。そこに、車を置き、3台の車に分乗して、三川村綱木より入ったところにある、馬ノ髪山登山口に移動した。
 車を降り、登山の準備が出来たところで、まずはコンパスを使って現地の向きと地形図の向きを合わせるところから講習を始めた。しかし、谷底ゆえ周囲の地形とあわせて説明したいが、適当な目標が無く、「沢がこちらからこちらに流れているんだね」程度しか説明できない。とにかく先に進むことにした。
 堰堤を越えるところから登山道は始まる。登山道は沢を右に左に渡りながら進んでいるが、どこが登山道だかはっきりしないのは以前歩いていて分かっている、沢床を歩いた方がよさそうなところは、そのまま沢床を歩いた。
 枝沢の流入と沢がカーブしているところで立ち止まり、地形図を出してもらって現在地を特定した。しかし、特定した場所から少し進むと、先ほど特定した場所が間違いだと気づき、沢床での特定の難しさを実感した。こんなことでは読図講習になりませんね。
 沢から離れるところには標識がある。標識が無ければ尾根の取り付き点を特定するのは難しいところだ。ここで、地形図で進行方向の角度測り、コンパスを使って進む方向を示す作業を教えた。渋谷さんのフォローもあり、メンバーは真剣にコンパスを合わせる。
 急な尾根道が始まった。樹林帯で視界は利かないが、ぐんぐん高度が上がっていく。途中で休憩して、見えるピークなどの目標点がコンパスで何度に見えるかによって現在地を特定する方法を講習した。しかし、樹林帯ゆえかろうじて見えるピークに照準を合わせて特定したが、本来なら、ピーク2つ以上に照準を合わせないと、間違いやすいことを付け加えた。
 馬ノ髪山山頂には三角点があり、周囲の展望が開ける。二王子、焼峰、赤津、棒掛など・・・。
 山頂を示す標柱は古くなって文字が見えにくくなっていた。
 目指す俎倉山はそう遠くないように見える。ここから先は私自身歩いたことは無い。初めて歩く道はわくわくする。道は刈り払われているというが、どの程度か、行って見なければ分かるまい。
 踏み跡をたどって進んで句と、「この先道無し、山ノ神」と書かれた標識があり、ロープが張られていた。当然気にすることなく先に進む。
 次の目標地点は最低鞍部だ。樹林帯の上、鞍部付近は尾根幅が広く台地状になっているので、鞍部は特定しにくいだろうと思っていた。ここが鞍部かと思うところで何度か立ち止まったが、下りはまだまだ続く、10m未満のアップダウンは地形図で分からないので、難しい。
 広くなったブナ林に入って行くと、踏み跡が消えてそれまでこまめにつけてあった赤布も無くなった。だいたい最低鞍部だなと思い、進行方向にコンパスをあわせたが、すぐに道をはずしたことに気づいた。メンバーに道をはずした理由を説明し、本来の道のある方向に戻ると果たして赤布が見つかった。樹林帯の広い台地では現在地の特定が難しいことを実感した。読図講習には少々レベルが上だったかもしれない。
 踏み跡は完全になくなり。時折赤布が見えるだけの藪こぎが始まった。ブナ林が続けば大した藪じゃないのだが、杉が進行を阻む。その上、木の茂った樹林帯は周囲の目標物を隠し、現在地の特定は困難になってきた。
 ある程度登ると踏み跡に乗った。このまま進めば、俎倉山まで道が続いているかと進んでみた。岩場のアップダウンなどもあり苦労して見晴らしのきくところに立ち、地形図を出して周囲の地形を読む。
 まず、蒜場山を探したら、とんでもない方向にあった。どうやら、枝尾根の立派なピークのあるところのピークに登ったらしい。でも、迂回しながらでも踏み跡を歩いた方が藪こぎより歩きやすい。そのまま、進んでみることにした。
 しかし、少し進むと主三角点のある場所があり、そこで道は終わっていた。その上、周囲は切り立っている尾根だ。メンバーに戻ることを伝えた。
 でも、現在地と進むべき方向がはっきりしたので、気分は晴れた。
 良く見ると、俎倉山方向に不明瞭ながらも踏み跡が付いており、鉈目や赤布が頻繁に付いていた。現在地が特定できなかったため枝尾根に迷い込んだことが分かった。とにかく、樹林帯の中は難しい。読図講習には少々レベルが上だったのと、メンバーに余計な藪こぎをさせたことを後悔した。
 でも、ブナや栃の新緑は美しく、その中に立派な天然杉が堂々と伸びている姿は深山の雰囲気をかもし出して素晴らしい。簡単な登山道を歩くだけじゃ、こんな素晴らしい森を歩けないのだ。心が洗れる気分に浸りながら先に進んだ。
 急な登りが始まり、やがて登山道と合流した。
 俎倉山山頂は数人の人がくつろいでいた。メンバー全員が揃ったところで。景色のいい天狗の庭に移動した。
 飯豊連峰は雲にかかって姿が見えなかったが、二王子岳、焼峰山、赤津山、棒掛山、五頭連峰などが見渡せた。そして、馬ノ髪山を振り返り、結構長い距離を歩いてきたんだなと実感してしまった。
 俎倉山や馬ノ髪山だけを取ると、簡単な山だが、縦走路は読図がしっかり出来ないと歩けないコースであることを実感した。
 下山は登山道を降りた。藪道を歩くと、登山道が天国に感じる。
 
 この山行は探検気分たっぷりの山行だった。
 でも、こんどはもっと簡単な山で読図の講習をしますね。

馬ノ髪山から、俎倉山と蒜場山を望む 俎倉山頂での記念写真

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