霧来沢支流もうがけ沢

2003年7月13日、吉田、バクさん、中澤さん

コースタイム
7:30本名御神楽登山口発-7:50もうがけ沢出合-10:50〜11:10幻の大滝-11:30〜12:30昼食-13:50稜線-14:20峰越林道峠着

 ’99年秋の「岳人」に会津の幻の大滝が紹介されていた。また、峰越林道の会津側に入ると、数箇所に「幻の滝群00km」という道標がある。幻の大滝、幻の滝群というのはいかなる滝なのか、沢登りをはじめた一昨年から興味を抱き始めた。
 とにかく、幻の大滝というのは水量の少ないときは単なる草付きの壁で、雨が降ったときだけ滝が出現するらしい。梅雨の晴れ間を狙えばきっと見る事が出来るだろうと仲間を誘って今回の沢登りの計画を立てた。

 早朝、ふるさと村でバクさんと合流、車2台で走り出す。
 安田IC駐車場で中澤さんと合流、49号線経由で上川村へ向かった。
 空はどんより曇り色だか天気予報では雨の確率は低い。雨のことを考えて第2案第3案まで計画を作ったが、天気が持つことを信じ、もうがけ沢を目指すことにした。
 峰越林道の峠で車1台をデポしもう1台の車で本名御神楽の登山口へ向かった。
 本名御神楽の登山口より登山道を歩き出す。前週に鞍掛沢を遡行しているので、2週連続同じ場所からのスタートだ。
 霧来沢の水量は見た目でも分かるくらい前週より多い。ここ数日の雨で増水したようだ。
 八乙女の滝も迫力が増している。
 八乙女の滝の巻道を過ぎて間もなく、霧来沢が川原状になったあたりで入渓した。前週は川原が広く広がっていたが、この日は見事に川幅いっぱいに水が流れていた。
 間もなく左から水量の多い沢が合わさった、それがもうがけ沢だ。メンバーにハーネスを装着してもらった。

もうがけ沢に入ったばかりの渓相


 しばらくはゴーロの歩きが続く。水量は多いし水は冷たい。時々3-4mの滝が現れて快適に登っていった。両岸は見事なブナの原生林だ。
 やがて10mくらいの滝が現れた。直登かなわず巻くことになる。その後、10mくらいの滝がいくつか現れたが、水量が少なければ直登出来そうな滝もあったが、全て巻いた。巻いた所は踏み跡や鉈目のあるところもあった。多くの人がこの沢に入っていることが分かる。
 中には2mほどの滝もあったが、釜が深く両岸に手がかりもないので巻くことになる。水量が少なければ簡単に越えられる滝だろう。

気温が高ければ、流れの左端をシャワークライムかなと思った滝。10m
結局巻きました。

 左から枝沢の流入を見て、10mほどの滝を右より直登して越えると沢は右に大きくカーブした。そして、ナメになった沢が左から流入し、そちらへ進んだ。
 緩やかな斜度のナメを進むと突然辺りが開け、目の前に幾筋もの流れを掛けた幅広の幻の大滝が現れた。その現れ方は劇的そのものだった。下部は草付きの壁を流れ落ちる滝、上部はスラブ滝であわせて落差は80mあるという。
 思い思いに写真を撮りしばらく見とれてしまう。
 水量が少ないときは単なる草付きの壁で、降雨後などの水量が多いときに現れるので幻の大滝というらしい。このような滝がもうがけ沢右岸の草付きの壁やスラブにいくつか現れ、総称して幻の滝群と言うらしい。
 この日は前日まで降り続いた雨の影響で最大限の大滝が現れた。
 右から落ちる流れにそって登らねばならない。ザイルを出そうかと考えていたら、トップを切ってバクさんがどんどん登っていった。しっかりしたホールドが多く、フリーでも簡単に登れる。中澤さんも後に続く、私もその後を追った。
 上部のスラブは所々ぬめっていて滑りやすい。普段は苔の生えた岩盤ということがうかがえた。水線右側の潅木を頼りに慎重に登っていく。ここで一歩間違えればただではすまない。水量が多くて素晴らしい滝を眺められたが、その分危険度は増していた。
 全員フリーで無事幻の大滝を登りきった。
 そこから先は幅3mほどのナメが延々と続く。最初の斜度の急なところで中澤さんが登るのに苦労し、私が最初登ってザイルを出した。幻の大滝をフリーで登ったのに10mほどのナメ滝が登れず本人は悔しがっていた。その上、少々肌寒い天候なのに滝の水しぶきをあびて全身ずぶぬれだ。

 少し登ったところで昼食にした。ナメの上での昼食は気分がいいが、じっとしていると寒い。お昼はそばだ。沢の水で煮て沢の水でさらして気分は最高だが、寒いのでめんつゆは暖かくした。

 それからも時々小滝をまじえながら幅3mのナメが延々と続く。ナメの途中の二又では林道に近い左に進路を取った。
 このナメはまるでブナの原生林の中を歩く舗装道路に水が流れているようだ。標高差200mくらい、距離1km近くにわたって延々と続くのだ。

延々と続くナメ、まるでブナの原生林の中を歩く
水の流れる舗装道路(撮影、バクさん)


 やがてナメも終わり、最後は岩の間からこんこんと湧き出る湧き水が源頭だった。飲んでみるとまろやかでおいしい。水筒に詰めて持ち帰った。(この水で割ったウイスキーの水割りは最高に旨かった。帰宅後の話である)
 ブナ林の藪こぎが始まった。ブナ林は藪が薄い上、うっすらと踏み跡があるところもあった。このルートは多くの人が歩いていることが分かる。所々鉈目さえもあった。
 小尾根に上がり潅木の藪をこいで間もなく稜線に出た。日尊の倉山の登山道は稜線のやや新潟県側だ。稜線を林道方向に進みながら若干右よりに下ると間もなく藪っぽい登山道に出た。
 あとはまっしぐらに下るだけだ。
 露に濡れた藪を掻き分けているうちに全身ずぶ濡れになった。
 林道に出て握手をして遡行終了。デポした車で登山口に戻った。

 霧来沢が只見川に合流する付近にある湯倉温泉鶴亀荘で体を温め、帰路に就いた。

 隠れた名渓と幻の大滝に触れて満足の一日だった。

大迫力の幻の大滝

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