広谷川支流覚道沢

2003年10月19日、吉田、バクさん、東風さん、ふうたさん

コースタイム
7:30 栄太郎新道登山口発-8:10覚道沢出合着8:25発-12:20高頭着13:00発-15:00登山口着

 御神楽岳東面には雪崩で磨かれたスラブが広がっている。
 今年最後の沢登りにと、その中でも入門的なコースといわれている覚道沢に行くことにした。

 黒埼のふるさと村にてバクさんと合流し、上川村蝉ケ平奥の登山口に向かう。登山口では仙台よりお越しの東風さんと前日急遽参加することになったふうたさんと合流した。
 登山口には県外ナンバーも含めて数台の車が止まっていた。狭い駐車場は満杯になった。
 秋晴れの空の下、登山道を歩き出す。左下に見える広谷川は昨夜の雨で増水していると思ったが、水は澄んでいて増水しているとは見えなかった。
 鉱山跡を過ぎ、滝のかかる蛍沢を渡るときれいなブナ林の中を進んでいく。そして、西谷地小屋沢を渡り、次の沢が目指す覚道沢だ。
 覚道沢出合は岩盤の上を水が流れ、登山道の渡渉部分はロープが張られてある。すぐ上にすだれ状の滝がかかっていた。
 ここで、ハーネスを付け渓流シューズに履き替えた。準備の出来ているふうたさんは我々が支度をしているうちに最初の滝を登ってしまったようだ。
 この滝は水流通しを登っていけそうだが、秋も深まり水も冷たいので濡れたくない。私は左壁の苔の生えているところを登った。
 しかし、濡れたくないという希望は次の滝で早くも裏切られることになる。
 F2で冷たい釜に腰まで漬かり、滝の水を浴びて滝下を通過し、右壁を登った。早くも全身ずぶ濡れになってしまった。
 適度に登れる滝が次々と現れ、楽しい遡行になった。ただ、この日は10mm×40mのザイルに金槌などがザックに入っていてザックが重い。ちょっとの所で苦労する。
 やがてすだれ状の虹の大滝30mが現れた。何故「虹の大滝」と名づけられたのか理解に苦しむ。左側の藪の小尾根を簡単に登って巻けそうだが、せっかくだから直登しようという事になった。
 トップはふうたさん、ザイルを引きずって歩き出すが、岩壁にリスがなくハーケンが使えない。残置ハーケンが一本あり、それにビレイを取るが、その上も悪そうだ。結局左の藪よりのルートを取って登っていった。私は確保していたが、長い時間上を見続けていて首が痛くなった。40mザイル全て使った。東風さんとバクさんには巻き道を登っていってもらう。巻道は踏み跡があるようだった。
 そして、私がカラピナなど回収しながら登る。ふうたさんは最初滝の方向へ進んで左へ寄ったのでザイルがブッシュに引っかかっている。それを直してまっすぐにしながら登った。藪との境目付近は足場はあるのだが岩に泥がかぶっていて滑りやすくなっていた。ブッシュをつかんで腕力で這い上がる。腕が疲れてしまった。
 藪の小尾根で東風さんやバクさんと合流。大きく高巻いた。この滝の通過には1時間程度かかったようだ。
 沢床に戻るとしばらくはゴーロ状だ。岩に苔が生えているところを見ると普段から水量は少ないのだろう。進行方向に岩峰が見えてきた。
 やがて周囲が開け、左右の岩峰の間に滝がかかっているところに来た。まるで屏風の一角が鋭く切れ落ちて、間に滝がかかっているようだ。滝の落差は40m、ホールド、スタンスは豊富に見える。左壁に取り付く。ホールドは豊富とはいえ、落ちれば危ない。一歩一歩慎重に登って行ったら、後から来たバクさんに追い越されてしまった。
 滝上からは眺めると対岸の笠倉山が山肌を赤く紅葉させて聳えている。
 藪っぽくなった沢を進む。水は細くなるがかなり上まで水はあった。水を補給するとザックは更に重くなる。
 低木や草つきをまじえたスラブの斜面を左寄りに登っていった。二足歩行で歩ける快適なスラブだ。
 やがて藪に入り、楢山尾根に上がった。栄太郎新道尾根が下に見えてきたところで左にトラバース、登山道に出た。そこから一投足で高頭(こうつむり)に上がった。
 高頭山頂で握手をし、無事遡行を祝して乾杯だ。秋晴れの空の下とてもすがすがしい気分だ。
 眼前には険悪な湯沢スラブが広がる。昨年登ってきたスラブのルートを目で追う。
 昼食後、下山の途に就いた。
 しかし、この栄太郎新道は快適な下山とはいえない。おまけに靴底に泥のついたスニーカーは良く滑る。慎重に歩いたため下りなのに足が疲れてしまった。
 途中の尾根上で登った覚道沢を振り返る。漏斗状の沢の形状がよくわかる。先ほど登った40mの滝が良く見える。反対側は湯沢のスラブだ。こちらのほうは圧巻だ。
 スモヒラより道は平坦になりほっと一息。あとはブナ林の水平道だ。

 御神楽岳東面のスラブ入門コース。この山の素晴らしさを再認識した山行となった。

虹の大滝。左壁を登ろうとするが、ハーケンを
打つリスがなく、更に左の藪(写真では見えない)
沿いを登る事になった。巻道もある。
岩峰の間に沢の本流が流れる。
中央右の切れ込みに向かって登った。
スラブを登る東風さん。 栄太郎新道より見た覚道沢上部。
漏斗状の形状がよくわかる。

新潟県下越の山の目次へ戻る

ホームへ戻る

inserted by FC2 system