蒲生岳

2004年4月24日、単独

コースタイム
12:00登山口発-12:20夫婦松-12:37鼻毛通し着12:40発-12:48山頂着13:05発-13:35登山口着

 東北のマッターホルンだとか、会津のマッターホルンだとか、低山なのにやたらでかい異名を持つ山がある。蒲生岳である。
 南会津の国道を走っていると、のどかな風景の中にいきなり現れるその尖った山容は、目を引かずにいられない。まるで、のどかな緩やかな稜線の南会津の山の中では小さいのに異端児のような山だ。

 所用で入広瀬に行った。ちょうどその日に六十里越の国道が開通したので、只見まで足を伸ばして蒲生岳に行くことにした。仕事が気になったがまず大丈夫だろう。

 この日は冬に逆戻りしたような寒い日だった。六十里越を走っているときは雪が降っていた。路上に積もるほどではないにしろ季節外れの雪は寒く感じる。
 只見町のコンビニで弁当を買い、少々腹もすいてきたが蒲生岳の山頂まで我慢することにした。
 尖った山が目に入ると国道沿いに絵地図の看板があり駐車場がある。そこが登山口だ。車を止めて歩き出した。
 集落の中を進んでいくと尾根の突端に神社があるのが見える。どうやらあそこが登山口らしい。しかし、まっすぐ行けば民家の軒先を通らねばならず、また、踏み切りの無い線路を渡らねばならない。ちゃんとした登山道がそんなところ通るわけ無いかなととりあえず左手の踏み切り目指して進んでいった。踏切には登山道の標識もあった。
 踏み切りを渡り進んでいくと、数名の初老の男性とすれ違った。「これから山に行くの?」と聞かれ「そうです。」と答えると「大変だの」といわれた。大変な山なのだろうか・・・
 進むと「かたくり公園」に入っていったが、何処が道だか分からない。振り返ると先ほどの男達が指を指して示してくれた。なんともアナログなGPSだ。言われるままに進むと先ほど見た神社の横にたどり着き登山口の標識が立っていた。登山者カードがあったので記入した。
 だが登山口の標識はあるものの何処が道なのだろうか。付近は広葉樹林帯で落ち葉に覆われて道が分からない。とりあえず目の前の尾根を攀じ登った。
 尾根の上にはちゃんと道が付いていた。そのまま進んでいくと石の祠があり左から立派な登山道が合流した。どうやら登山道は左の山腹を登ってきているようだった。
 尖った山容の通り最初から急な登りだ。雪も降り始めてきた。雨具を着るのが面倒なのでそのまま登っていった。
 岩場もあるがステップが切ってあるしロープも張ってあるので歩きやすい。
 夫婦松というのがあった。二本の松が絡み合っている松だ。夫婦松とはいいネーミングだ。でも、独身には目に毒か?
 少し進むと「右、鼻毛通し、左、西側岩壁(険しい)」という道標があった。やや悩んだが鼻毛の意味が見たいと思い右に進路を取った。
 先ほどの道標には右には「険しい」の文字は無かったが、岩場が連続して現れ充分険しい道のりだ。
 鼻毛通しの岩はトンネルのようなくぐり岩だ。中に入ってみると説明があった。トンネルの脇の松がまるで鼻毛のように見えるから鼻毛通しと呼ばれるようになったそうだ。
 登山道は鼻毛通しから一旦戻って上に登って行く。
 2人の登山者にすれ違った。
 右から登山道が合流した。
 やや行くと風穴と呼ばれる岩の縦穴があった。看板に説明があり地元の人が30mまでもぐってみたが何もなかったとの事だった。
 そこから間もなくで山頂に着いた。マッターホルンの山頂だ。でも、山頂の標柱と祠のある日本のどこの山でも見る山頂の風景だ。山頂に着いたときにちょうど雪が止んだ。でも、周囲の山々は雲に覆われて見えない。親切にも風景を説明したパネルが置いてあったので、ほんとの風景は心の目で見ることにして、パネルの写真で見た気分にさせてもらった。
 岩陰で先ほどのコンビニで買った弁当を食べた。レンジで暖めてもらったが冷める前に山頂に着いた。
 弁当を食ったら下山開始。うっかり「険しい」方に来てしまった。でも、岩場にはしっかり鎖も着いているし険しさは鼻毛通しのルートとは変わらないと思った。
 眼下の只見川の水音を聞きながら一気に下る。
 登山口からは神社の石段を降りて踏み切りの無いところを渡って駐車場に戻ってきた。

 往復約1時間半の「マッターホルン」の山旅だった。

鼻毛通しの岩、確かに穴の向こうの松が鼻毛に見える マッターホルンの異名を持つ蒲生岳の山容

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