烏帽子岳

下田村

2004年5月8日、単独

コースタイム
15:00笠堀ダム発-16:20山頂着16:25発-17:45笠堀ダム着

 仕事の都合でなかなか休みがとれず思うように山に行けない日が続いている。でも、短い時間でも新しいルートを開拓できればそれなりに充実感に浸れるはずだ。
 翌日の日曜は既に予定が入り山に行けない。この日は土曜で通常なら一日仕事しているのだが、なんとかやりくりして短時間でも行ける近くの低山に登ることにした。
 そして、下田村の低山烏帽子岳に行くことになった。

 昼休み返上で配達して時間を切り詰め、登山口の笠堀ダムに到着したのは午後3時少し前だった。その場で山用の服に着替える。気分はスーパーマンに変身するクラークケントだ。しかし、ズボンは特価品のジャージなので少々安っぽいスーパーマンだ。
 天気のいい土曜日、ダムには観光客が数人いる。
 足には渓流シューズ、ザックの中にザイルやハーネス、ヘルメットまで入れた。
 烏帽子岳は数年前にダムから登る尾根道をたどって登った。しっかりした踏み跡があったことを覚えている。今回はその尾根の左側にある沢を詰めることにしていた。ダムサイトから見ると烏帽子岳にひっかき傷をつけたように見える沢だ。遠めに見てもスラブの斜面があり楽しそうだ。
 ダムの北詰から左に伸びる遊歩道を進み、沢に入った。尾根道に上がる分岐で数名の登山者に会った。こんな山にも登山者がいるとは驚きだったが、向こうは向こうでこの時間から沢を登る私を見て驚いていた。
 水量は少なく足を余り濡らさずに歩ける。しばらくはゴーロ帯が続いた。
 喬木帯を抜け、空が開けてくると暑くなる。長袖を脱いだ。藪で腕が傷つくことは必至だが、暑いを取るか痛いを取るかの選択だ。しかし、下に着ていたのはノースリーブのシャツだった。藪に入ると肩から無防備状態になることが判明した。
 ゴーロが終わり、スラブ帯に入っていった。遠めから見るより斜度は緩い。岩質は仕上げ砥石に使われるあの青白い岩だ。表面にぼこぼこ小さい穴があいているので渓流シューズのフリクションが良く効く。
 開けたスラブの広場でザックを下ろし腰をおろした。火口壁を真正面から見る守門岳の姿が雄々しく目に映る。大岳〜袴岳〜烏帽子山に続く守門の火口壁を真正面から見れる絶好の位置にあることに気づいた。周囲の山々の雪は大分消えたが、守門はまだ白い。
 ここから右又の沢に入っていった。水はもう流れていない。すぐに藪に入った。
 無防備の腕に容赦なく藪がこすりつける。
 尾根に上がり藪の向こうに粟ケ岳が現れた。
 そこからすぐに三角点のある山頂に着いた。山頂にはステンレス板の「烏帽子岳 679.9m」の標識があった。以前来たときは三角点のほかは何も無い藪山の山頂にふさわしい雰囲気だったのだが、こんな山でも標識が立つようになったかと、少々残念な気分になった。
 ちょっと休んだ後すぐに下山開始。登山道を下り始めた。
 以前は藪っぽい踏み跡程度だった登山道もしっかり鉈が入り整備されている。急な所はロープまで付いていた。
 しかし、渓流シューズでの土の道は歩きづらい。と、思って岩場を下っていると、その岩場は先ほどの沢の支流が突き上げているところだと分かった。渓流シューズなんだから、沢を下ろうと予定を変更。ただ、懸垂を繰り返すと思うので、用意したハーネスを装着しヘルメットをかぶった。
 まずは最初の懸垂下降。手頃な低木に捨て縄をセットして15m懸垂で下った。
 そこから下はスラブの沢だが沢底が階段状になっていて近くの木を捉まりながらだと簡単に下れる。しかし、一ヶ所岩の表面がすべすべの所があり、思わずズルッときたのでその部分は2回目の懸垂下降で下った。
 登った沢に降り立つとゴーロ帯だ。渇いた喉を沢水で潤した。
 そして、斜度が緩くなり遊歩道に飛び出した。
 ダムの堰堤上を歩くときに時々振り返って歩いたルートを確認した。

 低山で短い時間の山旅だったが、変化のある楽しい山だった。

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