赤ヤシ
広谷川支流西谷地小屋沢遡行〜ホタル沢下降
2004年7月3日、単独
コースタイム
8:05栄太郎新道登山口発-8:30西谷地小屋沢出合-9:00二又-9:38赤ヤシ着9:53発-ホタル沢下降-11:06栄太郎新道に戻る-11:20登山口着
友引の土曜日だった。仕事が何とかやりくりできたので、午前中に下山し2時頃までに帰宅できるように山に行くことにした。前々日から地形図を見ながらコースの選択をする。単独ゆえ厳しそうな沢は行けない。そこで、地形図を見る限りは滝の無さそうな広谷川支流の西谷地小屋沢を登ることにして、ホタル沢を下降することにした。そうすれば、藪峰の赤ヤシにも足跡を残すことができる。
上川村蝉ガ平奥の栄太郎新道登山口に車を置いて歩き出す。広谷川に下降して西谷地小屋沢出合まで本流を遡行しようとも考えたが、帰りの時間もあるのでやめた。
鉱山跡近くの登山道上にマムシがいた。「どいてくれ」と言ってもどかなかった。数メートル一緒に歩いた。噛み付こうともしない、暑さでばてたか?マムシ君。
西谷地小屋沢出合は釜のあるナメになっている。登山道が横切るがロープが張ってある。ヘルメットをかぶり遡行開始。
登山道から見える最初の滝は直登したが、ホールドが小さくて面白かった。ナメ床の渓相に小滝が続く。しかし、水量が少ない。早くも源頭の様相だ。
しばらくしてゴーロが続くようになる。暑くて長袖を脱いだ。水が少ないのでさっさと水筒に水を詰めた。
やがてブナ林から抜けると直射日光がいやおうなしに体に降りそぞぐ。沢は水が流れているなんてもんじゃない、沢床が濡れている程度だ。それなのに、支流の出合を越えると更に水が減る。
スラブっぽい登りになってくると二又に着いた。周囲はスラブのすり鉢の中だ。水は覚道の頭方向の沢の方がやや多い(といっても濡れが多い程度だが)今回は赤ヤシを目指すので右又に入った。右又最初に8mくらいの滝がかかっていた。半袖では高巻するのはいやなので、中央を直登した。これが今回の核心かもしれない。滝は全て小さく簡単に直登可能だ。
岩の濡れも無くなり、デコボコのコンクリートのようなスラブが続く、気分は窓ガラスを登るハエだ。藪に入れば日陰になるが、半袖では腕が傷つく、できるだけスラブの斜面を登っていった。
赤ヤシ直下で右の尾根に上がった。硬い木の低木藪だが、古い鉈目があった。でも、踏み跡は無く、周囲は藪に戻っている。ホタル沢右岸尾根にかつて道があったのか?
短い藪こぎだったが息が切れた。最近は運動不足なのだ。
赤ヤシの山頂は岩場になっていて、畳一枚分くらい広くなっていた。しかし、暑さでばて気味なので、適当な木の陰に入ってセルフビレーを取って休むことにした。水筒の水を飲み、首に水を掛けて冷した。するとたちまち元気になった。
元気になれば山頂からの景色を楽しみたい。藪の中の山頂を想像していたが、景色は360度遮るものが無い。覚道の頭の向こうに湯沢の頭が見える、御神楽本峰は雨乞峰に隠れて見えない。振り返ると残雪のちりばめた飯豊連峰も見える。意外といい山なんだなあと感じ入ってしまう。
仲間と味わいたい山頂だった。
適当に藪に突っ込んだらすぐにスラブの斜面になった。立った岩壁を懸垂下降で降りる。30mロープ折り返しでぎりぎりの高さだった。
時々スラブはきわどくなるが、頼りになる木が少ないので懸垂はしたくない。少しでも斜度のあるところをクライムダウンした。
沢床に降り立つが水は流れていない。濡れている程度だ。
ゴーロ主体の沢になった。いつまでたっても流れるほどの水は出てこない。30分くらい下降したらようやく流れるくらいの水量になった。早速頭から水をかぶる。
ブナ林に入ると涼しくなる。近くの木にいた猿がいきなり騒ぎ出した。「おーい」と呼ぶが逃げていった。人間と猿は遠い親戚なのに猿はそれを知らないのかも知れない。
気持ちのいいナメが現れると10mの直滝の上に立った。ちょうど根元が曲がったブナの木があったので捨て縄をセットせずにロープをたらして懸垂下降した。
それからいくつか滝が現れたが、懸垂するまでも無く降りていった。そして、いつの間にか登山道に出た。ホタル沢は所々にごみも落ちており、人が入った痕跡があった。
仕事の都合で思うように山に行けないが、少しでも空いた時間に山を楽しんで行こうと思う。
鉱山跡から赤ヤシを見上げる 下降したホタル沢上部のスラブが見える。 |
西谷地小屋沢上部のスラブ帯 ピークは覚道の頭 |
赤ヤシから御神楽岳方向を望む、御神楽本峰は見えない、見えているのは湯沢の頭 手前に覚道の頭と高頭が重なって見える。 |