弥彦、滝の沢
2004年8月21日、単独
(コースタイムの記録は取っていません)
土曜日の昼過ぎに吉田町の取引先に用事があって行った。その後はフリーとなったのでついでに弥彦の滝の沢に行くことにした。
滝の沢入口の墓地の奥の一台だけとめられる駐車スペースに車を置いて歩き出す。
杉林は蝉の大合唱だ。右に左に遠くに近くにそれぞれの木にとまった蝉たちが精一杯の声を張り上げて歌っている。
堰堤を越えて沢を横切るところから沢に入った。
いつも行く手をふさいでいた流木が少なく、沢はきれいになっていた。先月の大雨がこの沢を掃除してくれたようだ。
今年は厳しい沢に行っていないのでちょっとした滝でも慎重に越えた。
20分ほどで大滝の基部に来た。
最近シャントという確保器具を買った。本来は懸垂下降の補助具だが、岩場での単独で登攀の練習にはダブルロープで使えるので確保に効力を発揮していた。ただ、私はこの器具の購入のもう一つの目的は、単独登攀の時のZ法という確保方法にこの器具が向いていると思ったのだ。今回の遡行の目的はこの滝の沢の大滝でこのシャントを使ったZ法による確保で実験的に登ってみようと思っていたのだ。
この大滝の落差は17mくらい。2〜3mおきに残置ハーケンがあり、また、過去に数度トップロープで登っているので登るルートは分かっている。
まず、基部のハーケンにザイルの末端を結びつけ、最初の支点までの長さ+αの部分にシャントをセットして登り始めた。
水の流れに沿って登るが、中間付近で水が岩にあたって激しく飛沫を飛ばす、そんな中でも目を開けられるように水泳用のゴーグルを付けての登攀だ。
用意したカラピナは4つ。4つの支点で核心部は越え、あとは簡単な登攀だが、上部にも一つ支点が欲しい。シャントの有効活用としてザイルにぶら下がって下の支点のカラピナを取って回収し上部の残置ハーケンにつけた。
シャント利用のZ法はシュリンゲをプルージックでザイルに結びつけた時のZ法に比べて、ザイルへの結合部分がヘソのあたりにあるのでその意味では操作しやすいが、しかし、シャントはカムを開放してザイルを伸ばすので両手を使わないと操作しづらい。よって両足で立てるところでその操作をしなければならない。プルージックによるZ法とは一長一短がありそうだ。
なんとか登りきり、あまったザイルで懸垂下降して基部の固定をはずし再び登る。この時にシャントで確保しながら支点のカラピナなどを回収しながら登る。しかし、登ると同時にザイルもずり上がったのでは意味が無いので、オモリとしてザックをザイルの末端に縛りつけ、登った後でザックを引き上げようとした。
再度登ってザックを引き上げようとしたが途中で引っかかって上ってこない。仕方なくもう一度懸垂で下り、最後はザックを担いで左から巻いて上がった。結局、登って下ってまた登るといったZ法より2回登り下りが多くなり、Z法というよりW法みたいになってしまった。
次の赤滝は垂直に近いところを登るのだがホールドが水に濡れて滑りやすい。残置ハーケンにシュリンゲを通して登りにくい下部はそれに捉まりながら登った。
次々と現れる10m前後の滝も何度も登っているから問題なくフリーで登った。そして、二又は6合目へ抜ける右へ。
ここにもちょっと難しい滝があるが問題なくフリーで登った。そして、6合目で登山道に出た。
下山は登山道だ。名物のところてんを食べようと思ったが店じまいの後で食べられなかった。(ここのはおいしいのだ、残念)
最後に車を止めた場所に戻ったら、蝉の合唱コンクールは終わり、こうろぎたちの合唱が始まっていた。
シャント(ペツル社のカタログより) | ペツル社のカタログの シャントの技術解説の図 本来はエイト環などで下降する時の補助具として使うもの シャントのカムを開放しながら下り 両手を離してもその場で止まっている。 |