角田山

ごりん石コース

コースタイム
11:10グリーンビレッジ発-11:17林道横断-11:45福井ほたるの里コース分岐-12:00山頂着12:30発-12:47林道横断-12:54グリーンビレッジ着

 多忙な日が続き休日といえども休んでいられない状態が続いていたが、忙中閑あり、この日は何も予定がない。急ぎの仕事の電話が来ることも考えられるが、久しぶりに山頂で弁当を食べたくなり自宅から一番近い角田山に行くことにした。

 出かけようかと思っているところに仕事の電話があり、一件用事を済ませてから角田山に向かった。
 今回登ろうとしているコースはごりん石コースだ。このコースは小学校6年生のときにボウイスカウトのキャンプの時に登って以来となるので、実に30年ぶりだ。山に行くときは地形図などで下調べをしてから出向くのが筋ではあるが、今回はこの少年時代の記憶を頼りに行こうと決め、地形図やガイドなどは全く見ないでやって来た。

 ボウイスカウトの活動は私の少年時代の人間形成に役立っていたと思っている。
 小学3年でカブスカウトに入隊し、5年でボウイスカウトになる。子供が刃物を持つなんて危ないと世の教育ママたちが叫んでいた時代、我々はカブスカウトの時は当たり前にナイフを使い、5年でボウイスカウトになったときは、鉈を持って山の中から焚き木を集めてそれを適度に切り、焚き火をしていたのだ。
 夏のキャンプでは電気もガスも水道もない原野で5日間のキャンプ生活をする。非常時以外は固形燃料は使ってはならない。マッチの火から火を起こす、火が起きなければご飯は食べられない。水は沢水を汲んでバケツに溜めておく。カブスカウトは近くの民宿に泊るが、ボウイスカウトはテント生活だ。
 そんなキャンプを6年生のとき巻町竹野町の菖蒲塚古墳周辺の丘陵地で行った。確かこの時は本来予定していた場所へ行けず、急遽この地に決まったと思う。水は沢水がないので金仙寺の水を分けてもらった記憶がある。

 登山口に向かう前に菖蒲塚古墳に寄った。
 少年時代は古墳の周囲に柵がしてあって古墳の墳丘の上に松が茂っていた記憶があるが、いまでは柵の一部が開いていて墳丘に登れるようになっている。松は切られて丘の上から周囲が見渡せるようになっているが、人が入れば裸地化が進む、これでは貴重な前方後円墳の姿が変わってしまうのではなかろうか。
 30年前テントを張ったと思われる場所は柿畑になっていた。
 そこから車で角田山方向に走り、古い石の道標があるT字路を勘を頼りに左折した。そして、少し走ると登山口の標識があった。
 
 ごりん石の標柱が有った。車を降りてごりん石を見る。石には文字が彫ってあるが風化して読みにくい。近くの看板に説明があった。彫られている言葉は
 「涼しさや すぐに野松の 枝のなり    芭蕉翁」とあった。
 そこから坂を少し登るとごりんの滝の道標があった。また車を降りて見に行った。
 滝は5-6mくらいの小さい滝だ。沢屋の性格ですぐに登るルートを目で追ってしまう。水流伝いに登れば難なく登れそうだと思った。もちろん、この日は登らない。
 車に戻って更に進むとすぐに周囲が開けた。グリーンビレッジと名づけられた分譲地のようだった。でも、登山口が見当たらない。ごりんの滝の入口近くに戻ると現地事務所と書かれた建物があり、その脇に道が伸びていた。そこを歩いてみることにした。30年前は菖蒲塚から歩いて登山口まで来たと思う。しかし、風景の記憶がよみがえらない。もう30年前の記憶は頼りにならない。
 歩くとすぐ一人の人とすれ違い道を尋ねた。登山道に間違いないようだった。少し行くと柿畑に入った。そこにいた人にも道を尋ねた。人に道をたずねながら歩くのもなかなか楽しい。
 林道を横切った。通常ここまで車で入って登り始めるようだ。数台の車が止まっていた。
 杉林の中を緩やかに登っていく。静かな登山道だ。
 「五倫石コース」の標識を過ぎると道はじぐざぐになり傾斜が急になった。周囲の展望はないが森を渡る秋風が心地いい。
 やがて福井ほたるの里コースと合わさり尾根の上に出た。
 前を家族連れの登山者が登っていた。小学校高学年くらいの女の子が半べそかいて座り込んだ。私は追い越しざまに「がんばれ」と声を掛けた。そばにいたおにいちゃんが私に続いて「がんばれ」と声を掛けた。
 急な登りが終わるとひょっこり山頂の一角に飛び出した。大勢の登山者が思い思いの場所でくつろいでいた。私も木陰のベンチに座って弁当を広げた。
 ビールの栓を抜いてふと登ってきた登山道を見ると、先ほどの家族連れの子供二人が走って登ってくる。おにいちゃんの後をさっき半べそかいていた女の子が追いかけていた。「着いたー、やったー」山頂に着くと満面の笑顔だ。
 山頂には多くの子供づれのパーティーがいた。そういえば私も子供の頃ボウイスカウトの登山に限らずよく角田山に来ていた。確かそのときは山頂は樹林の中だったが、その後展望を良くするために木が刈り払われたのだ。
 心地よい秋風の吹く中での昼食は美味しかった。
 30年前は稲島(とうじま)に降りた、下山途中から足ががくがくしたのを憶えている。
 この日は往路を戻った。
 
 角田山はこれからも親しんで行きたい山だ。

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