大峰(三川村、上川村村境)

2005年3月20日、単独

コースタイム
6:50新箕輪林道入口発-7:25左から流入してくる2番目の沢の左岸尾根取り付き-8:30 312mピーク-9:30 460m地点-11:00 740m地点-11:35稜線に出る-11:50大峰山頂着12:23発-360mピークより枝尾根を間違って下り登り返す。その間約1時間半-15:00 312mピーク-15:15林道に出る-15:50林道入口着

 川内山塊の外郭をなす稜線に鍋倉山の稜線がある。標高の割りに険しい山の集まりである川内山塊の中では緩やかな稜線が続いている。
 5年前に鍋倉山に登ったとき、その景色の素晴らしさから隠れた名山だと感嘆したが、一度鍋倉山から大峰の稜線を歩いて見たいと思うようになった。
 また、数年前に山スキーを始め、地形図を見ながら山スキーに適したルートはないか探す日が多くなり、その中で見つけたのが、大峰から東へ向かう稜線だ。今回はこの稜線を登って大峰に上がり、鍋倉山に登って大谷沢と南大谷沢の間の尾根を滑降する計画を立てた。

 まずは下山予定地の新大谷沢橋に自転車を置いた。鍋倉山が朝日に照らされ輝いている。下山に使う尾根を目で追った。稜線は痩せており稜線をはずすと雪に亀裂が多く入っていた。最後は歩いて下るしかないなと思った。
 栃堀集落外れの新箕輪林道入口に車を駐めて歩き出す。林道は入口部分は除雪されているが、それは林道脇にあるコンクリートの小屋のところまでだ。そこから山スキーを装着して進んだ。
 登る尾根は左から流入する2つ目の沢の左岸の尾根だ。雪は締まっていてあまりもぐらない。斜度が急になるとジグザグに登らねばならない。力を込めて踏みしめてシールを効かせて登った。
 ブヤやミズナラなどの落葉樹林で樹間が広く気持ちよく歩ける。
 312mピークには杉の木が何本か立っていた。その根元にタヌキが1頭こちらを見ている。数秒お見合いしカメラに収めようとデジカメを取り出す間に逃げてしまった。
 まだ芽吹いていない木の小枝越しに白い御神楽岳が見える。天気は快晴だ。
 往路下山ならピークや鞍部などで赤布をつけるのであるが、今回は周回コースを取っているためつけなかった。これが後で影響することになろうとはこの時は思ってもいなかった。。
 気温が上がり雪が緩み始めてきた。アイスパーンよりは登りやすい。460m地点までは尾根は緩やかで幅も広く登りやすかった。
 木々の間から飯豊山も見え始めた。
 460m地点から上は斜度もきつくなり始める、一部やせ尾根もあり登るのに苦労した。
 740m地点を過ぎれば再び尾根は広くなり、斜度も緩くなる。もうこの時点で11時を過ぎており、鍋倉山はあきらめた。
 クマの足跡を発見した。カモシカやウサギの足跡はこれまでも見つけたが、クマの足跡は今季初めてだ。足の短いクマはもぐる雪の上の歩行は大変だろう。それにしてもまだ3月、冬篭りから目覚めるには時期が早くないのだろうか。
 村境稜線は雪庇が発達していたが、動物の足跡に導かれるままに雪庇の出来ていない部分から稜線に上がった。ひろい尾根で展望もよくすこぶる気持ちがいい尾根だ。
 稜線上にもぶなの木が生えており、その樹間を歩きやすそうなところを狙って大峰山頂にたどり着いた。
 山頂は広い台地状で気持ちがいい。
 絶景が広がった。目の前には堂々とした鍋倉山、今回は行けなかったが山スキーでは気持ちのいい歩きが出来そうな稜線が続いている。谷沢川を挟んで対岸には日本平山が近い。
 春霞がかかっているが、守門岳、浅草岳も確認でき、日尊の倉山と狢ケ森山の背後に緩やかな稜線を見せているのは会津丸山岳であろうか。それから、御神楽岳、霞んでいるが磐梯山、吾妻連峰、飯森山が白い頂を輝かせていた。そのまま左に目を転ずれば真っ白い飯豊連峰、二王子岳、五頭連峰。とにかく絶景だ。川内山塊核心部の山々が見えないのか残念であるが、絶景の展望台の山だと思った。
 風はほぼ無風でツェルトにもぐりこまなくても寒くは無い。周りを取り囲む会越の山々とともに持ってきたビールで一人乾杯だ。
 
 スキーのシールをはがして滑降開始だ。ブナの樹間は広く滑りやすいはずなのだが、今年新調した慣れないカービングスキーで横滑りが出来ないので苦労する。急で痩せているところは短い間隔で斜滑降とキックターンの繰り返しになってしまった。
 小尾根が分岐している360mの小ピークまでは1時間で下ってきた。登りでは約2時間半を要しているスキーのくだりがいかに早いかが分かる。
 ところがここで判断ミスを犯してしまった。360mピークを312mピークと勘違いした。目指す先は沢に橋がかかっているところだ。対岸の山は御番沢を挟んで向側の山と思い込んだ。この地点を朝通過したときは雪が締まっていてほとんどスキーがもぐらなかったので、トレースが残っていない。コンパスで確認すればすぐに気づいたのだが、枝尾根の方に入り込んでしまった。
 やがて尾根が痩せてきた。登りのときに痩せ尾根を通過した記憶が無かったが、人間の記憶なんてあいまいさとそのまま下り始めた。そのうち、スキーではとても下れなくなり、わかんに履き替えて下った。
 やがて沢音が近づき尾根の両側を水が流れる沢になった。沢には滝がかかっている。この地点で間違いに気づいた。あと50m降りれば沢に下りるがそれは御番沢ではなく支流だ。夏場なら沢に下りて歩いてもいいが、今は積雪期、雪解け水で増水し両岸を雪の壁が出来た沢は歩きにくい、それに雪崩の危険がつきまとう。
 登り返すことにした。現在地が分かるので360mピークまでは1時間ほどかかると踏んだ。少し登ってからわかんをはずしスキーを付けた。
 ピーク手前でトラバースして本来の尾根に戻った。
 登りのときは312mピークでは休憩したので雪の上に跡が残っていた。それを見て安心した。再びタヌキがで迎えた。杉の木の根元に穴があり、そこがタヌキの巣のようだった。私が近づくと巣穴にもぐりこんだ。
 そこから左気味に降りれば間違いなく林道に出られる。最後は法面に気をつけて林道に降りた。取り付いた地点よりやや奥のところで林道に出た。
 あとは林道を戻るだけ、朝はなんとも無かった沢にかかる橋の雪に亀裂が走っていた。崖の下を通るところでは大規模な雪崩の跡があった。
 猿の群れが遠くから私を見つめていた。
 そして、栃堀の家並みが見えて林道入口に戻ってきた。

 鍋倉山と大峰の間の稜線を山スキーで歩くには、最初に鍋倉山に登って大峰に至り、大峰からは今回のルートを降りてくれば効率もよく気持ちのいい山スキーが楽しめそうだ。
 それにしても、目印の赤布は周回コースを取るにしても戻ることを考えてつけるべきだと反省した。

クマの足跡を発見した 森の中を続くクマの足跡 大峰山頂より見た鍋倉山。
緩やかな稜線がつながっている。
鍋倉山からこちらに向かって山スキーで歩けば気持ちいいだろう。
御神楽岳 二王子岳〜飯豊連峰 ブナ林を下る。
登りのトレースと下りのトレース。
カービングスキーは腐った雪の藪斜面滑降にはひっかかってどうもうまく滑れない。

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