木地夜鷹山
  きじよたかやま

夜鷹山、百戸沼(ひゃっこぬま)

2005年5月15日、単独・・・下山は4人

コースタイム
7:00安座川沿いの林道の途中発-7:30採石場跡-8:15二又-9:15稜線に出る-9:30夜鷹山-10:00木地夜鷹山着11:00発-11:30百戸沼着11:40発-12:15長谷川合流-13:55長谷川沿いの林道途中着

 

 旧上川村と福島県の県境稜線上には個性的な山が目立つ、緑色凝灰岩という貰い岩で出来ているためスラブが多いからだ。しかし、標高はそれほど高いわけでなく、また目立ったピークを持たないため里からは目立たない。静かな山で変化に富んだ山行をしたい私にはお気に入りの山域となっている。
 今回はその中で個性的な山名を持つ木地夜鷹山に行くことにした。

 49号線のセブンイレブンのある交差点を南へ入り安座集落を目指す。前月竜ケ岳に登って以来の安座だが、なんと「竜ヶ岳→」という道標が道端に設置されていた。
 関根方面に折れ、道はやがて砂利道になった。道をふさいでいる軽トラックにクラクションを鳴らしてどけてもらったら、車の主から「山に行くのか」と聞かれ「そうです」と返事したら「入山料1000円払ってくれ」といわれた。「安座○○委員会」というカードを見せられたが私は「木地夜鷹山に登山に来たのだ、山菜は取らないよ」と言ったら「じゃ入山料はいらない、入山料を取るのが目的じゃないんだ、山荒らされて困るからこういうことしているんだ、気ぃ悪くしないでくれ」と言われた。最近はどこの山でも山菜を大量に取っていくふとどき物が多いと聞く、地元の住民は大変だと思った。
 林道はまだ続くが道が荒れてきたため目の前に大きなスラブが見えている場所で車から降りた。
 天候は曇り、谷はときどき靄が立ち込めていた。荒れた林道を進んでいく。
 地形図上の林道の橋は無く渡渉を強いられた。この日は沢沿いの道を詰めることを考え長靴で来ている。ただし、上部に残ると思われる雪渓のことも考えてスパイク付の長靴だ。
 林道はやがて踏跡程度になり、採石場の跡地に来た、緑色の砥石によさそうな石だ。地形図上の林道はこの採石場まで続いているが、実際はかなり手前で途切れている。
 そこからは沢の中の道だ。右に左に渡渉しながら進むが、踏み跡は時々見失った。でも、沢登りの心得があれば踏み跡に頼らずとも無難なコース取りをすることが出来るだろう。
 季節が夏なら渓流シューズで歩きたい道だ。
 支流の流入ごとに現在地を確認しながら進んだ。
 やがて沢をスノーブリッジがかかり始めた。安全最優先で進んでいく。
 1:1の二又に来た、目指すは右又だが、踏み跡が左又の左斜面に付いている。その通り進むと、滝上部のナメで渡渉して二又の間の細尾根を踏み跡は登った後右又の右岸沿いに続いていた。
 ここで、ピッケルはすぐに取り出しやすいようにザックと背中の間に挟み、シュリンゲを肩から掛けいつでもセルフビレーや懸垂下降できる体制をとった。
 完全に雪渓の歩きになった。雪渓の上は白い霧に包まれて遠くまでの視界が利かない。支流が多くて現在地が分かりづらくなってきた。でも、ここまで来れば上へ上へと行けば稜線だ。ただし、急なスラブが行く手を阻むことを考えて、広く傾斜の緩い雪渓を選びながら進んでいった。
 霧が晴れだして、稜線が見え雪渓も詰めになってきた。詰はスラブだ。傾斜が緩いのでスラブを登ることも考えたが、スラブにわずかに残った雪が崩れればひとたまりも無い。スラブ右手の藪斜面を登ることにした。踏み跡は完全に消えていた。
 稜線直下だけスラブを登り稜線に出た。
 稜線上はしっかりとした道があった。狐戻しと呼ばれている両側が切れ落ちた痩せ尾根は意外と巾が広く、恐さは感じなかった。
 いつの間にか道が消え、夜鷹山もいつの間にか通過した。
 そこから先は時々鉈目が現れる程度の道だ。次のピークの鞍部から左手下に百戸沼を見下ろせた。稜線の踏み跡もはっきりし始めたが、木には熊の爪あとがあり、この踏み跡は熊も利用していることを知った。肩から提げたシュリンゲにカラピナでコップをぶら下げていたため金属音を鳴らしながら歩くことが出来、熊よけにはちょうどよかった。

安座川は穏やかな渓相が続くが、
危ないスノーブリッジが多くかかっていた
詰近くは急な傾斜の雪渓になっていた
この上はスラブの斜面だ


 
 木地夜鷹山が近づくにつれ人の声がし始めた。こんな藪山に来る人もいるんだなあと思っているとこちらに声がかかった。
 「吉田さん」と名前まで呼んできた。驚いて見上げるとインターネットの山仲間の山楽さんだった。うしろにはえび太さんまでいる。いやはや驚いた。
 藪山で人に会うことも驚きだが、それも知り合いに会うなんて・・・・・
 山頂には山楽さんの奥さんもいらっしゃった。
 山楽さんパーティーは大滝集落の方から登ってきたらしい。私は百戸沼を見てみたいし登ってきた厳しいコースを下るのもいやなので、山楽さんと一緒に大滝側に下山させていただき、安座側の私の車まで送っていただけないか聞くと、快諾をいただいた。とても幸運だ。
 単独の山行の時は食料は飢えなければそれでいい程度にしか持って来ていない。山楽さんの奥さまにご馳走をいただきまことに嬉しかった。
 山頂からの眺めはあいにくの曇り空でそれほど良くない。それでも、木々の間から御神楽岳や先日登った沼ノ峠山も確認できた。それよりも間近に見える山々に一度は立ちたいと思うようになってしまった。

木地夜鷹山より見る
右奥は御神楽岳
中央に鍋倉山(奥)と沼ノ峠山が重なって見える

 下山は百戸沼方向に下る。登山道と変わらないいい道が伸びていた。やがてブナ林に入っていく、新緑と残雪のコントラストが素晴らしい。
 百戸沼には3人の方々が写真を撮っていた。話を聞くと昔このあたりは金が産出した鉱山だったららしい。百戸沼のあたりは百戸の家が立ち並んでいたためこの沼は百戸沼というらしいと教わった。
 今は人が住んでいた痕跡など何も無い。完全に自然に帰している。こんな神秘的な山中の湖にも歴史があるなんて感動を覚えた。
 百戸沼から木地夜鷹山を見上げる絵になる風景だ。
 沼は流れ出る川が無い、下っていくと谷間から大量の水が噴出していた。伏流水となって流れ出ているようだ。
 沢沿いの道を下ったが安座川の道と比べると穏やかな渓相で歩きやすい。えび太さんと山楽夫人は登山靴で渡渉のたびに靴に水か入っていたようだ。この時期の沢沿いの道は長靴がベストだ。
 やがて林道に出て山楽さんの車が見え変化に富み、さらに偶然の出会いの重なった山旅が終わった。

 変化に富んだ木地夜鷹山、今度は秋に訪れて見たいと思った。

百戸沼へ下る途中のきれいなブナ林 百戸沼

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