木地夜鷹山
きじよたかやま
豊栄山岳会月例山行
2005年11月20日、本隊 L吉田、本田、中山、坂井、大屋 別働隊 小林、大内
コースタイム
7:10安座川林道乗り入れ地点発-10:00稜線に出る-10:50木地夜鷹山山頂着12:30発-百戸沼-長谷川出合で焚き火-14:40長谷川林道着
会越国境稜線には個性的な山が連なっている。緑色凝灰岩で出来た山は雪崩によりた易く磨かれ、スラブが出来やすい。遠くから見れば緩やかな稜線しか見えないのだが、近づけば岩肌が露出しているのだ。
この年の春、そのうちの一つの木地夜鷹山に登った。
今回と同じく安座川を遡行して山頂に至り、百戸沼を経由して長谷川沿いの道を下った。
無名の藪山なのだが変化に富んだ登山を堪能でき、季節を変えて訪れようと思った。
会の私の担当山行で11月に藪山山行を行う事となっており、木地夜鷹山の再訪を会の山行として計画することにした。
早朝豊栄中央公民館にて集合し2台の車に分乗して入山口の西会津町安座を目指した。
安座川の林道の車の乗り入れ可能な所まで車を乗り入れ、大滝より往復の小林会長と大内さんに車を回してもらい。安座川沿いを歩き始めた。
天候は曇り、一部に青空が覗いている。5人のメンバーのうち本田さん以外は長靴で歩いた。
地形図上では採石場まで林道が伸びているが、実際は二つの堰堤のやや手前までしか車を乗り入れられない。途中の橋もなくなっている。
採石場跡で沢に下りた。水量は少なく春に来たときより歩きやすい。
飛び石伝いに渡渉を繰り返しながら進んだ。雪渓の処理に苦労した春よりは歩きやすく、時折現れる滝に歓声を上げながら晩秋の渓谷美を楽しんでいた。
1:1の二又は左又の右岸をへつって滝左又の滝を高巻き、痩せ尾根に乗ると踏み跡がある。春の経験が生きた場面だったが、踏み跡を拾いながら登るよりは沢床を歩いた方が早いと判断し、右又の沢床を歩いていった。
落差3〜4m程度のスラブ滝がいくつか現れ、長靴と冷たい水の中で登攀に苦労した。緑色凝灰岩はフリクションが効く、しかし、メンバーは苦労していた。一ヶ所お助けロープを出した。
詰めのスラブの手前で水を補給し、傾斜が緩い右又へ入らずに正面のスラブにルートを取った。
水が流れているところ以外は雪が積もり始めている。斜面に生えている草はみな枯れ、握っても体重を預けられない。それでも、斜面の弱点を見ながら足で登ることに心がければ登れるのだが、経験不足のメンバーにそれを期待するのはこくだった。本田さんが草つきの斜面を登ってロープを出し、坂井さんと大屋さんはロープの確保で登ってきた。
スラブの登攀はあきらめ安全な藪の中を歩くことにした。
雪の積もった藪の登りは手が冷たくなる。潅木藪を雪と藪を払いながらどんどん高度を上げていった。
最後は緩斜面のスラブを登って稜線に出た。地形図の破線のルートはおそらくスラブ右側の沢を詰めているのだろう。結果的に厳しいルートを選択したが、みな良い経験になっただろう。
稜線に出てから夜鷹山のピークまではしっかりした踏み跡がある。境界線の標石が所々埋めてある。
夜鷹山からは藪こぎの開始だ。杉と松に時々行く手を阻まれるが、落葉樹の葉は落ちた跡なので木地夜鷹山までの距離感がわかって良かった。
台倉山への分岐のピークを過ぎ、ちょっとの登りで木地夜鷹山の山頂だ。
展望は近くの山しか見えない。雲が下りてきている。すぐにテントを張って宴会に入った。
11時の定時更新で別働隊の小林会長と連絡をとった。彼らは長谷川から百戸沼に入る分岐点にいるようだった。百戸沼を見おろすが、春には見えた沼が見えない。干上がったか?と思ってしまった。
外は寒くてもテントの中は快適だ。持ち寄った酒と肴で至福の時を過ごした。
12時の交信で小林会長より雪が降り始めたことを知らされた。外を覗くと確かに雪が舞っている。
12時半頃、山頂を後にした。下山路はしっかりした踏み跡が伸びている。しかし、整備された登山道ではない、みな時折歓声をあげ尻もちをついていた。
下山途中のブナ林の中で別働隊メンバーにあった。我々に会ったら下る予定でいたらしいが、木地夜鷹山の山頂を踏むべく登っていった。
百戸沼は春の半分以下の大きさになっていた。大きさも小さくなると神秘さも半減していた。
へつり道の踏み跡を下る。しっかりした道だ。
長谷川の本流と出合ところで本田さんの提案で焚き火をしながら別働隊を待つことにした。
天気も回復し焚き火の暖かさも加わってテントを張らなくても十分に暖かかった。
別働隊と合流して長谷川沿いの道を一気に下る。春来た時は山菜を取りながらのゆっくり下山だったが、一気に下ると案外林道までは近かった。
林道に止まっている車が見え、泥だらけの長靴を沢で洗って車に乗り込んだ。
思ったより安座川沿いのルートが厳しかったが、ちょっと厳しいくらいの方が思い出に残る山行が出来るというもの。
無名の藪山でも楽しい山行が出来たと思う。
きれいなナメにて休憩 | 雪が積もったスラブの登り | 雪の積もった藪をこぐ |
出た稜線から木地夜鷹山を望む | 百戸沼、春よりも水量が少ない | 焚き火の練習をした |