Received: from ykgw.yokogawa.co.jp by mx.ksp.or.jp (5.x/3.4W)
	id AA10420; Thu, 19 Sep 1996 10:50:54 +0900
Received: from kestrel.crd.yokogawa.co.jp ([133.140.60.36]) by ykgw.yokogawa.co.jp (5.67+1.6W/2.7W)
	id AA27368; Thu, 19 Sep 96 10:47:36 JST
Received: (from daemon@localhost) by kestrel.crd.yokogawa.co.jp (8.7.4+2.6Wbeta6/3.4W4:96Sep07) id KAA18765; Thu, 19 Sep 1996 10:42:13 +0900 (JST)
Date: Thu, 19 Sep 1996 10:42:13 +0900 (JST)
Message-Id: <9609190142.AA20916@dent.niigata-u.ac.jp>
To: mountain@kestrel.crd.yokogawa.co.jp
From: okamoto@dent.niigata-u.ac.jp (okamoto akira)
X-Sender: okamoto@dent3.dent.niigata-u.ac.jp
Subject: [mountain 1529] Re(1446):    Mt,Evurisasi
Mime-Version: 1.0
X-Mailer: Eudora-J(1.3.8.5-J13)
Sender: owner-mountain@kestrel.crd.yokogawa.co.jp
Precedence: bulk
Reply-To: mountain@kestrel.crd.yokogawa.co.jp
Errors-To: mountain-Owner@kestrel.crd.yokogawa.co.jp
X-Sequence: mountain 96-1529
Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp

今日は今野@AIRNETさん、新潟の岡本です。

先日、今野@AIRNETさんから以下のご指摘を得て、[mountain 1463] の返事を書きま
したが、家に帰ってからもう少し調べてみましたら、興味あることが分かりました。

>残念ながら、えぶり差岳の「木偏に八」の字と「杁」(木偏に入)は歴史的に
>別の字らしいので、代用できません。昔山行報告書をまとめようとしたときに
>仕方なく外字を作りました。
>

以下のようなことがわかりました。

・漢字の意味
新版 漢語林 大修館書店 (漢和辞典を新しく買うことになってしまった。)を見ると

木へんに八:ハツ、ハチ
 字義 えぶり。さらい。土をならしたり、穀物などをかき寄せる農具。
杁:国字
 字義 いり。姓、地名に用いられる。
 木へんに八(ハツ)は別字

 ということで、えぶり差岳の字は、語義的には、木へんに八が正しいように思えます。

・ガイドブックにおける表記
 ところが、ガイドブックでは、二通りの表記がありました。

木へんに八のもの
2.5万分の1地形図
日本の山岳標高一覧-1003山-(建設省国土地理院)
コンサイス日本山名辞典(三省堂)
飯豊・朝日連峰を歩く(山と渓谷社)
山と高原地図「飯豊山」(昭文社)
新潟からの山旅(新潟日報事業社)
日本百名山 深田久弥(新潮社)
日本200名山(昭文社)
日本300名山ガイド(新ハイキング社)

木へんに入(杁)のもの
アルペンガイド「東北の山」(山と渓谷社)
岳人カラーガイドブック「飯豊連峰・朝日連峰」(東京新聞出版社)
東北百名山(山と渓谷社)
越後の山旅 藤島玄(藤波出版)
こだわりの山DAS(白山出版)

 地形図あるいは日本の山岳標高一覧で木八が使われているので、こちらを正しいと
したいところです。
 ところが、問題は、越後の山旅(藤波出版)で杁の字が使われていることです。こ
の本の著者の藤島玄氏は、新潟の山の権威といっても良い人で、深田久弥一家を飯豊
に案内していますし、えぶり差岳には、顔写真を彫り込んだレリーフをはめこんだ碑
がたてられている程です。

・えぶり差岳の山名標識
 残念ながら、1995年6月18日にえぶり差岳に登った際には、山頂には山名標識はあ
りませんでした。連れが、記念写真の為に残念がり、そこで、山頂直下の避難小屋で
名前を入れた記念写真を撮ったのを覚えています。写真を探して調べてみると、手書
き文字の看板には、杁差岳避難小屋と書いてありました。

 ということで、地元の慣習では、字の誤用があるようですが、杁差岳と書きあらわ
しているようです。手元にあった新潟のある山岳会の会報でも、杁差岳と書かれてい
ました。

 どちらの字をとるかは、以上をふまえた上で決めるべきだと思いますが、私個人と
しては、地元優先の立場から、「本当は木へんに八でなければいけないはず」とウン
チクをかたむけたうえで、杁差岳と表記していこうかと思います。

 登山の楽しみってのは、体育会系ではなく文化系のものですね。

新潟大学歯学部
岡本 明
inserted by FC2 system