二王子岳(初めての登山)

1997年6月14日〜15日

  5月のある日だった。友人の山田から電話が有り「二王子岳に登らないか」と
誘われた。いきなりの登山の誘いに驚いたが、私も少年の頃よく山に登っていた
ので久しぶりに山に登りたくなった。
  計画は土曜日の午後から登り山頂でテントを張って泊まろうとのことだった。
私の他に関根も誘われしていた。
  山田は金持ちで、登山の道具をテントも含めて全部そろえた。私は、父が山好
きなのでザックを父に借り、コッヘルとガスボンベのみ購入して、バスケットシ
ューズで登ることにした。関根は知り合いから背負子を借りてきた。
  土曜日の午後、私の会社の駐車場に集合して、二王子岳の登山口の二王子神社
に向かった。天気は快晴だ。
  二王子岳は少年の頃何度か登ったことがある。南俣の集落より、林道に入る
と周囲の風景がとても懐かしく感じられた。
  テントと食料を分担して担ぎ、二王子神社を出発した。山田は歩くのが遅いか
ら先へ行けという。私と関根の二人で歩き出した。
  一合目を過ぎる頃にすでにばててしまった。10分歩いては座り込んで休むとい
った状態だ。
  やっとの思いで一王子の神社にたどり着いた。ここで山田を待つが一向に現れ
ない。一王子は神社を通らずに通りすぎる道もあり、そちらを行ったのだろうと
考え出発した。
  私は歩き出したら、それまでのばての状況が無くなって元気になっていた。関
根は相変わらずばて気味だ。
  五合目の独標で関根にお花畑で待つといって先に歩いた。ペースは快調になっ
てきた。山は大人になって初めてだったが、冬はスキーを毎週のようにやって
おり、時間のある時はジョギングしいいた成果がばてを回復させたのだろう。
  八合目のお花畑でしばらく待ったがなかなか関根がやってこない。たまりかね
て荷物をそこにおいて戻ってみた。
  関根は油こぼしの坂を登った所で道のうえに寝そべって休んでいた。完璧に顔
色が悪い。私はこれはヤバイと思い、彼の荷物を担ぎお花畑に戻った。彼の背負
子は腰にベルトが無く左右に揺れてとても歩きつらかった。おそらく彼のばて
の原因は背負子に有るのだろう。
  お花畑には水場が有り、とりあえず関根を残して山頂へ行き、また戻って関根
の荷物を担ぎ上げようと出かけた。
  とにかくやっとの思いで山頂に着いた。山田の姿はそこには無かった。山頂の
小屋の中を見ても人に聞いても分からない。とりあえず関根を迎えに戻った。
  しかし、関根は元気に登ってきた。山田は1時間ほど遅れて登ってきた。私た
ちの遅いペースより更に遅かったのだ。
  雄大な飯豊連峰が西日に照らされて姿を見せていた。圧巻だった。体は相当疲
れていたが、山に登った充実感はそれを帳消しにしてくれるものだった。
  単純な私は山登りを今後も続けようと簡単に決心した。
  夜はテントの中で盛り上がった。山に行くのに酒類はどっさり、焼き肉用の肉
や野菜もどっさり担いできたのだ。初めての山なのに荷物の重さは初心者の域を
はるかに越えていた。ばてるわけだよ。
  翌朝ご来光を見ようと飯豊山を眺めていたが、飯豊山にうっすらと雲がかかっ
てみることは出来なかった。しかし、いつまでも眺めていた。
  初めての山旅は、ばてと焼き肉と飯豊山のとても良い思い出の旅になった。

朝焼けの中の飯豊連峰

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