杁差岳、鉾立峰、大石山

えぶりさしだけ

1997年7月12〜13日、単独

  この日から丁度一ヶ月前、友人たちと二王子岳へ登った。子供の頃は山好き
な父に連れられて良く山に登っていたが、社会に出てからはほとんど山から遠
ざかっていた。
  しかし、二王子に登ったことでまた再び山に登りたくなり、丁度その頃臨時
収入が有ったので山の道具を買い揃え、山登りを再開した。
  そして、この山行が初めての泊りの山行になった。
  登山靴、ザック、衣服などすべて新品だ。
  胎内ヒュッテに登山届を出して入山した。
  この胎内ヒュッテの管理人は、飯豊山の精通者であるが訛りがひどく、他の
土地の人には何をしゃべっているか分からないのが難点である。
  この時も登山者カードを書いている私に向かって何やら話し掛けてきたが、
何度か聞き返してようやく意味を解することが出来た。
「先に新潟大学の山岳部の連中が登っているが、彼らに会ったら伝えて欲しい、
明日の下山コースの大熊尾根経由のコースは、徒渉地点があるので雨が降った
らそちらを降りずに権内尾根を下るように」とのことだった。
  この日は数日前に九州で被害をもたらした台風が勢力を弱めながらも接近し
ており、現在は晴れいてるが次第に雨になるという予報だった。小屋の管理人
の伝言は重要である。
  とにかく、早朝5時半頃出発した。天気は快晴だ。
  一般車進入禁止の車道を行く、道は舗装されており巾が広く、何故一般車を
入れないのか不思議なくらい良い道である。
  歩いて数分で猿の群れに出くわした。かなり大きな群れで猿達は私が近ずく
と林道の両端へ逃げ私を見ている。まるで猿達に歓迎されているような気分に
なってしまった。
  林道は途中から細くなり、舗装は途切れた。そして、胎内ヒュッテから50分
くらいで足の松の取り付きに着いた。
  ブナの林に入るといきなり目の前に立ちはだかるように尾根の先端が現れた。
いきなりの急登に少々困惑した。
  ロープが所々張ってあった。
  急登しばらくで姫子の峰に着いた。二王子が良く見える。
  尾根の取り付きから2時間ほどで、水場に着いた。そこには胎内ヒュッテノ
管理人が言っていた新潟大学のパーティーが休憩していた。この時は管理人の
伝言は伝えなかったが、山頂の小屋の前でその伝言は伝えた。
  この水場は尾根の丁度中間地点で、良い休み場になっている。私もこの水で
のどを潤した。
  11時頃、主稜上にある大石山に着いた。そして、目指す杁差岳が姿を見せた。
  昼食を摂って、主稜線の道を北へ向かった。
  鉾立峰を越えるのはきつかった。
  1時頃杁差岳に着いた。飯豊連峰の山々や、蔵王、朝日などの山が見えていた。
新しいテントで夜を過ごして、翌日は往路を下山した。
  心配していた台風は進路をそれ、翌日も快晴だった。
  初めての飯豊の山旅は、快晴の天気と素晴らしい眺めの思い出の山旅になった。

えぶり差岳のえぶりの字について、MMLの過去の報告より

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