以東岳

1998年9月5日〜6日 、 単独

「以東岳は朝日連峰の北端に位置する。ピラミダルな姿の盟主大朝日岳に対峙して、
左右に肩幅を広げたように、どっしりとした山容をもっており、いかにもみちのくの
山らしい重厚な感じのする山である。その内懐に神秘の湖大鳥池を抱き、山頂には一
等三角点の本点がある。」
深田クラブ、日本二百名山より。

  9/5  4:30豊栄発 = 8:00泡滝ダム着8:10発 − 8:57冷水沢着
9:05発 − 10:22大鳥池(タキタロウ山荘)着11:00発 − 12:25三角
峰北鞍部着12:40発 − 13:15オツボ峰着13:23発 − 14:05以東岳着
(泊)
  9/6  5:40以東岳発−  6:53東沢徒渉−7:25 タキタロウ山荘着7:50発
8:55冷水沢着9:00発−9:43 泡滝ダム着9:50発=15:00豊栄着

  9月5日早朝4時30分、豊栄の自宅を出発。
  新潟東港より海岸沿の国道を北上する。早朝のため交通量は少なく快調に進む。
  やがて夜が明けて、荒川にかかる橋を渡る手前より、進行左手に朝日連峰の稜線が
見え始めた。その左端に左右に裾を広げたような姿の以東岳が見えた。
  鶴岡ICより山形自動車道に入り、次の庄内あさひICで降り登山口の大鳥を目指
した。
  気温が高くなってきたためか霞がかかっており庄内平野を囲む鳥海山、月山などの
山を見ることは出来なかった。
  やがて最後の部落の大鳥を過ぎ、しばらくして道は未舗装になった。
  8時、林道終点の泡滝ダムに着いた。車は9台ほど駐まっている。但し駐車場はな
い、他の車は路肩に駐車している。
  8時10分、登山道に足を踏み入れる。道は東大鳥川右岸に付けられたとても歩き
やすい道だ。進行方向に以東岳から派生した尾根上にある戸立山が見える。
  小さい沢が多く水場には困らない道だ。
  8時57分、冷水沢の吊り橋に着き、初めての休憩をする。8人の中高年のパー
ティーが先に休んでいた。話を掛けるとこの日は以東岳に登り以東小屋に泊まるとい
う、それなら私と一緒だ。このパーティーはすぐに歩き始めた。
  9時5分、冷水沢を出発。すぐに先行のパーティーを追い越す。
  七つ滝沢の釣り橋を渡ってしばらくすると、道は沢沿いを離れてつづら折り状に
登っていく。途中七つ滝経由の道が分かれるが、こちらの方は途中足場の悪いところ
があるそうだ。私は、正規のルートを登りつづけた。
  つづら折り状の所々にショートカットして直登する道があり時折利用した。つづら
折り状になってから道端に2個所湧き水が湧いていた。
  坂を登りきり、ブナの間から大鳥池の湖水が見えた。青々とした神秘的な湖だ。池
という名前にしてはとても大きい。
  10時22分、タキタロウ山荘に着いた。大鳥池を見ながら少し早めの昼食にし
た。目指す以東岳が姿を見せた。頂上より少し右に小屋が見える。しかし、タキタロ
ウ山荘の周辺は山奥の湖のようではなくまるで観光地の風景だ。
  11時出発。制水門の上を通り、湖岸の道を右に分けて、オツボ峰コースを登り出
す。
  ぶなの林の中の急登が続く。標高1200メートル付近でブナ林を抜け喬木帯に移
ると幾分緩やかになる。
  標高1400メートル付近から草原になり、眼下に大鳥池が対岸に化穴山、甚六山
が見え始めた。目指す以東岳は右手に見える。
  時期的に花はほとんど咲いていなかったが、おそらくこの辺は花の時期には素晴ら
しい御花畑になっているのではないか。
  12時25分、三角峰北側の鞍部に付いた。ここからは稜線歩きだ。水場の標識が
有ったので、水を汲みに行った。水場は稜線の反対側を一分ほど下ったところに有っ
た。15分の休憩で出発。
  夏山シーズン最後のせいか、とても静かな山旅だ。
  13時15分、オツボ峰着。8分休憩する。気持ちの良い稜線歩きだ。
  14時5分、一等三角点のある以東岳の山頂に着いた。あいにく大朝日岳は雲がか
かって見えなかった。時折、寒江山までは見えた。眼下の大鳥池も時々ガスがかかっ
ていた。連峰随一のパノラマを期待していたのだが少々がっかりする。
  14時25分、今夜の宿の以東小屋に入った。小屋はとてもきれいで今まで見た山
小屋の中では一番きれいではないだろうか。管理人の心遣いに感謝する。
  水場は下り5分のところに有った。山頂直下とは思えないほどの豊富な水量で味も
とてもおいしかった。
  この日の泊りは、私以外は先ほど追い越した8人のパーティーだけだった。

  9月6日、朝、あたりが明るくなり始めた頃、山頂に登りご来光を待った。
山の東側は雲海、西側は晴れていた。大朝日の姿も見える。残念だったのは、遠くの
山々がまるで見えなかったことだ。
  5時15分頃、雲海の彼方から真っ赤な朝日が昇ってきた。この夏、天候に恵まれ
ず、まったくご来光を拝んでいない、この日が今年最初のご来光だった。
  しばらく景色を堪能した後、5時40分、以東小屋を後にした。今度は登ったコー
スとは別の、直登コースを下り始めた。
  途中登り返しのピークが無いためどんどん高度を下げていく。そして、目の前の大
鳥池がどんどん大きくなっていく。
  6時53分、東沢の徒渉地点に付いた。沢の水はまったく流れていなかった。(伏
流水になっているのだと思うが)
  そこからは大鳥池東側の湖岸を北上する。タキタロウ山荘付近の雰囲気からして湖
畔の遊歩道程度を想像していたが、意に反して、湖水すれすれのところ有り、アップ
ダウン有り、岩場有り、沢の徒渉有りのあたり前の登山道だった。
  7時25分、タキタロウ山荘に着いた。振り返ると湖水を抱くようにして以東岳が
雄大な姿を見せていた。
  7時50分、タキタロウ山荘を後にして、元来た道を引き返した。
  整備の良い道なので快調に飛ばしていく。この日は多くの人にすれ違った。多く
は、大鳥池までの登山者だろう。
  9時43分、泡滝ダムに着き、車に乗った。
  帰りは、距離的に近い朝日スーパーライン経由で帰ることにした。この道は途中2
1kmも未舗装部分が有るが、よく踏まれており、未舗装の割には走りにくいところ
はない。しかし、山歩きで疲れた体には林道の運転は少しきつかった。
  新潟県に入り、朝日村のまほろば温泉で汗を流し、昼食を摂り15時頃豊栄に帰っ
てきた。


以東岳より望む大朝日岳

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