棒掛山

1999年3月7日、単独

コースタイム
5:23豊栄発=(水原より49号)=鹿瀬町水沢より林道に入る=6:45車両の通
行可能な地点着 6:55発−7:50 385mの尾根上着 7:55発−8:50
山頂より西南方向に伸びる尾根に出る。500m地点着 8:55発−9:40 山頂
より西に伸びる尾根に出る。930m地点着 9:45発−10:03 棒掛山山頂着
10:15 発−11:55車に戻る 12:10発−13:30豊栄着

   新潟県の東蒲原郡鹿瀬町の阿賀野側の本流を堰きとめている角神ダムより上流方
向を見ると丸くどっしりした山が見える。これが棒掛山である。
   これだけ目立つ山容をしていながら整備された登山道がなく残雪期にのみ登れる
山として一部の登山者に知られているだけの山である。
   私はかねてからこの山に登ろうと時期をねらっていたが、この1週間ほどでめっき
り春らしい天気となり、本来は3月下旬ころに登る予定だったが、急遽登る事にし
た。
  事前の情報は乏しく、唯一参考にしたのは羽田寿志氏著「新潟の低山藪山」のみで
あった。この著者の記録は時間的な事はとても参考にならないが、コースのみ参考に
させてもらうつもりで出かけた。
  豊栄より南へ向かい水原町で49号に乗り一路登山口の鹿瀬町水沢に向かう。
  この一週間はだいぶ暖かく、山々の雪はかなり融けているように見える。
  津川町に入ると49号より離れ阿賀野川沿いの道を上流に向かって進む。
  赤崎山の峠を越えると目指す棒掛山が姿をあらわした。丸い山容はどっしりとして
堂々としている。背後には飯豊連峰の最高峰大日岳も見えている。但し、曇り空の為
なんとなく大日岳は輪郭がはっきり見えない。白い雲を背後にした白い山、わずかに
山の白さの方が白い。
  水沢の集落より林道に入る。
  標高150m付近で雪が林道を覆っていてこれより先車の乗り入れは不可能と判断
し、登山の支度をして歩き出した。
  しばらくは所々雪が覆っている程度だったが、だんだん雪の量が多くなり完全に道
路が雪の下になった。
  雪はとても締まっていてほとんどもぐらない、しかし、時折スボッと潜るところが
有り、早々にわかんを装着した。
  林道が左に大きくカーブして、地図上では300mの等高線を越えると進行右手に
小さい谷が有る。その地点より林道を離れ近くの小さい尾根に取り付いた。
  尾根の下は葉の落ちた広葉樹林帯で見晴らしがよかったが、尾根の上からは杉の植
林帯で視界が失われてしまった。
  尾根を越えて一旦緩く下り、とにかく西北西に真っ直ぐ進路を取っていった。念の
ため赤布を要所要所に付けながら歩いた。
  杉林を抜けると棒掛山の斜面が迫ってきた。再び葉の落ちた広葉樹林帯で見通しは
きく、赤布も遠くからでも見えるようになった。
  しばらくするとだんだん急斜面になってきた。とにかく進行左手に伸びる尾根に取
り付きたい。
  雪はとても締まっていて、わかんの必要性はほとんどなかったが、  一旦付けると
はずすのが面倒なのでそのまま付けて歩いた。
  先人の付けたピンクの布が所々で現れ出した。赤よりもピンクの方がとても目立
つ。この布を頼りに登っていった。
  標高500m地点で尾根に出た。
  思ったより上の方で尾根に出たので、適当なところで帰ろうかとも思っていたが、
絶対頂上まで行こうと考えが変わった。
  展望は素晴らしい、大日岳が近くに見え、眼下には蛇行した阿賀野川、そして、対
岸に鋭く尖った兎ケ倉山が見え、御神楽岳が笠倉山を従えて聳えていた。
  尾根に出てからも急登は続いた。わかんは邪魔なのではずした。
長靴なのでキックステップが出来ず、急なところを登るのには苦労した。しかし、ス
パイクが付いているので滑る事はない。
  尾根巾は最初は狭かったがその後は広く、恐いところはない。
  尾根の形状が無くなり出すと、山頂より西に伸びる尾根が近ずいて来た。再び赤布
を活用する。
  標高930m付近でその尾根に出た。山頂は目前だ。
だんだん尾根巾が広くなり傾斜が緩くなると広い台地状の山頂に出た。
  最高地点は鉈で切られた木が多く、刈り払いされているようだった。
  山頂からの展望は素晴らしかった。あいにくの曇り空の為山の稜線がはっきり見え
なかったが、飯豊山の最高峰大日岳や北股岳、蒜場山、眼下には蛇行した阿賀野川、
そして、対岸の兎ケ倉山、御神楽岳などの山々が見えていた。
  ひとりビールで乾杯し記念写真を撮って、早々に下山を開始した。
気温は3゜C風はほとんど無かったが、じっとしていると寒い。山頂の気分に浸るの
は一人の時は短い時間で充分だ。
  下山の時はかかとで雪を蹴り込みながら下っていった。
赤布は全てはずしながら下りた。ただし、先人が付けた物はそのままにしておいた。
自然の姿に返すというより、赤布がもったいないというせこい考え方からの行動であ
る。
  急なところはピッケルに頼りながら降りたがキックステップが出来ないのは締まっ
た雪の場合不便だ。
  尾根から外れると気温が高くなった為か雪が緩んできて足がもぐるようになった。
わかんを装着した。
  わかんを装着しても登りの時全くもぐらなかったのに時折ズホッともぐる。
  杉林に入って案の定方向が分からなくなった。適当に方向を見定めて進んだ。
  林道には登りの時と同じ場所で出た。
  随分気温が高くなっている。雪が緩くずぼずぼもぐる。
水沢川沿いに出ると、岩魚釣りの人と3人有った。登山の人にはすれ違わなかった。
  車に戻りラーメンを作ろうと思ったが箸を忘れた事に気付き我慢して帰路を急い
だ。
  とにかく道が無い山だが、うるさい薮は全て雪の下。全く薮をこぐ事もなく山頂に
立てた。
  憧れの山に立ててとてもよかった。

棒掛山より見た阿賀野川

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