木六山、銀次郎山、銀太郎山、五剣谷岳

1999年4月29日、単独

コースタイム
3:56 豊栄発= 4:56 悪場峠着 5:06発−5:29 水無平通過−6:5
7 木六山着 6:35 発−6:59 赤花峰通過−7:33 七郎平着 7:40 発
−8:18 銀次郎山着 8:33 発−9:15 銀太郎山着 9:35 発−10:4
0 五剣谷岳着 11:05 発−11:53 銀太郎山着 12:05 発−12:45
銀次郎山着 13:03 発−13:36 七郎平着 13:42発−12:07 赤花
峰通過−14:34 木六山着14:48 発−15:37 水無平着 15:45 発
−16:06 悪場峠着 16:20 発=17:30豊栄着

  五剣谷岳は新潟県の村松町、下田村、三川村にまたがる広大な川内山塊の中心部に位
置し、標高の割には周辺の谷が深く険しくそのためアプローチが長くなり、一部のエ
キスパートの領域として孤高をはなっている。
  現在手前の銀太郎山までは登山道はあるが、この五剣谷岳には登山道が無く、残雪期
に一泊の行程でなければ行けない山となっている。
  しかし、かつては登山道があり越後の山のバイブルである藤島玄著の「越後の山旅」
上巻に紹介されこの項の最後に「おそらく、訪れる人たちにとっては久恋の五剣谷岳
であろう。」と、紹介されている。この当時は五剣谷岳までは登山道が有ったようだ。
  私も昨年のゴールデンウィークに一泊で計画したが、銀次郎山の付近で膝が痛くなり
やむを得ず引き返したことがある。
  私にとってもそれ以来の久恋の山になっている。
今回は通常一泊のところを日帰りで挑戦した。

  まだ夜の明けない3時56分、豊栄の自宅を出発する。
少しずつ明るくなり始め、日が長くなったことを実感する。
  通常地図やガイドに紹介されている登山口は釜の鍔であるが、悪場峠より木六山に登
る登山道が有り、そちらが最短コースなのでそちらを目指した。
  悪場峠の林道の最高地点を過ぎてから右側を注意しながら進む。
  一般的には使われていない道なので看板などはない。道路が左にカーブする所で登山
道の入り口を見付け、車を路肩に寄せて止めた。
  すぐ小さなピークを越えて下り始めたがすぐまた登りになり、登った所に佛峠の標識
が有った、そこから下りすぐで水無平だ。
  水無平の手前で草露に濡れない様に雨具のズボンを付けた。
  天候は曇り空、しかし、天気予報は午後から回復の見込みだ。
  水無平を過ぎると登りになり、ジグザグに急な登りを登っていく。
  やがて稜線に出ると小さな石の祠があり焼峰山の神の標識が有った。
  稜線上は緩やかな上りで、所々残雪が現れ始めた。
  道の両側を可愛らしいイワウチワの花が埋め尽くし、目を和ませてくれる。
  木六山の山頂はあいにくのガス模様、周囲の景色は何も見えない。
  少しの休憩の後歩き出す。
  木六山の先から小さい雪渓が所々登山道を隠し始めた。下山の時の目印に雪渓に出る
時に木の枝にオレンジの布をつけていった。
  木六山の次のピークは赤花の峰と呼ばれている。
  七郎平山の登りは大部分が雪の上の歩きとなった。要所要所にオレンジ布を付けた。
  七郎平の泊り場は半分が雪で埋まっていた。雪渓の水が融けて流れるおいしい水場が
有った。昨年はここで泊まったのだ。
  昨年に比べると雪は多いような気がする。
  今年は例年に比べて雪解けが早いと皆さんは言うが、それは、昨年を除いての事だと
思う。昨年の4月の温かさは異常だった。
  七郎平山は広いピークだがほとんど雪の上の歩行となった。七郎平山通過で沢山のオ
レンジ布を使った。
  七郎平山を過ぎ尾根巾が狭くなると、再び稜線上の夏道の歩行となる。
  急登少しで銀次郎山に着いた。相変わらずのガスの為何も見えない。ここで心なしが
気温が下がってきた為、防寒着かわりに雨具を着けた。
  昨年はここから先の下りで足に激痛が走った。そして、鞍部より引き返してきたのだ。
  今回はまだ体調は良い。
  鞍部を過ぎ、銀太郎山の登りでガスが晴れ展望が開けた。
  銀太郎山の山頂からは川内の山々の景色がとても良く見えた。そして、御神楽岳が
どっしりとした姿を見せていた。
  整備された登山道はここまで、ここから先は道が無い。体調次第ではここで引き返す
つもりだったが、体調は良いし天気も良くなってきた。
  いざ薮こぎ開始。
  稜線上はリョウブと潅木の薮だが、薄い踏み跡が続いている。しかし、潅木薮の為地
面に足を着けることが出来ない。弾力のある潅木を踏みしめながら手でのけながら薮
をこぐ。
  すぐに踏み跡は稜線上からやや西よりのトラバース道になった。
  稜線上より木の密度が薄く少しは歩きやすい。古い鉈目が続いている。
  最低鞍部を越えて少し行くと、五剣谷岳の北から西の斜面は大量の残雪が有り、稜線
上は雪が無く歩きづらいことから、この残雪を利用して登ることにした。
  山頂直下まで登ったとき、山頂目指して薮に突っ込んだが、天然杉の薮ににっちも
さっちも行かなくなり、仕方なくもう一度雪原に戻って藪の薄い所まで行くことにし
た。
  五剣谷岳は傾いた長屋の屋根のような形をしている。その中間部分に乗り上げた。そ
して、最高地点まで戻った。
  ようやく久恋の五剣谷岳の山頂に着いた。三角点の周りは畳6畳位の広さで薮が刈っ
てあった。長い道程だった。だけど達成感が簡単に登れる山とは比にならないくらい
に有る。
  景色は素晴らしく、川内の山の盟主矢筈岳が姿を見せ、その向こうに守門岳も見えて
いた。360度遮るものの無い大展望だ。この川内山塊は標高が1000メートル前後の山
ばかりでその割に奥が深い為登る人が少ないが、逆にはまっている人もいる。そんな
人の理由が分かるような気がする。
  ひとりビールで乾杯し、昼食を摂った。
  昼食を摂っている間に天気が急変し、辺りはまたガスの中になり、雪が降り始めた。
雪はすぐに激しくなり始めた。あんまりゆっくりしていられない、雪原のトレースが
消えてしまう。
  下山は一旦稜線の上を銀太郎山方向に下り、杉の薮の無い所で北西面の雪原に出た。
トレースは消えていなかったが、鞍部近くになって雪から離れたとき、踏み跡の所在
が分からなくなってしまった。仕方なく、稜線の近くの薮の薄い所を拾いながら進ん
だ。
  かえって薮の中の踏み跡より雪の上のトレース拾いの方が簡単だ。
  銀太郎山で夏道に出てほっとした。
  下山とは言え、木六山までは登ったり下ったりの連続だ。おまけに雪だ、だんだん疲
労度が増してきた。
  銀次郎山の手前で一人の登山者を追い越した。こんな所で人に会うとは。彼は銀太郎
手前で悪天候の為引き返したようだ。
  七郎平に近ずく頃雪は止んだ。そして、また晴れてきた。
  七郎平で雨具をはずした。銀次郎からは雪の上に沢山のトレースが有った。銀次郎ま
では多くの人が入ったようだ。おかげでトレースがはっきりしていて迷うことはな
い。後から来る人のことも気になったがオレンジ布は全てはずした。
  アップダウンの繰り返しには疲れた。かなり疲労が足に来ている。
  木六山の山頂では再び素晴らしい景色を見ることが出来た。さっきまで雪だったとは
考えられない暖かい陽気だ。
  ここからはほとんど下り、水無平で小休止の後、悪場峠への道に入り、夕方4時過ぎ
にようやく登山口に帰ってきた。
  とにかく、ここ最近では一番の疲労だったが。憧れの山に登ることが出来て充実感で
心がいっぱいになった。


銀太郎山頂より見た五剣谷岳



五剣谷岳山頂の三角点


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