白砂山、佐武流山(途中撤退)

1999年6月5日〜6日、豊栄山岳会月例山行

コースタイム
6/4
20:40  豊栄発=24:20 野反湖着(野宿)
6/5
4:55  野反湖発−5:38秋山分岐着5:42発−6:48堂岩の水場着7:1
1発−8:57白砂山着9:27発−10:40最低鞍部着10:55発−11:4
0沖ノ西沢ノ頭手前着(昼食)12:40発−13:00沖ノ西沢ノ頭通過−13:
05沖の西沢の頭北方着(荷物をデポ)13:15発−14:10赤土居山着14:
30発−15:10沖ノ西沢ノ頭北方着(荷物を回収)15:37発−15:50沖
ノ西沢ノ頭山頂よりやや南方着(幕営)
6/6
5:40幕営地発−6:43最低鞍部着6:53発−9:20白砂山着9:50白砂
山発−11:30堂岩の水場着12:15発−13:05秋山分岐着13:13発−
13:53野反湖着14:15発=六合村温泉医療センター=19:30豊栄着

佐武流山は苗場山と白砂山の中間に位置しこの山塊の最高峰であり、かつ深田クラブ
が選定した日本200名山に選ばれている。
しかし、現在は整備された登山道はなく、残雪期か薮こぎを覚悟で登るしか方法はな
い。
昨年9月に豊栄山岳会の山行で白砂山に登った時この山に登りたいと思うようになっ
た。そして、佐武流山に秋山郷から登山道を付ける計画があることを知り益々興味を
抱くようになり、出来れば登山道が出来る前の秘峰のうちに登頂したいと思うように
なった。
昨年暮に豊栄山岳会より翌年に登りたい山を提出せよといわれ、迷わず佐武流山を希
望したら、リーダー会でこの山行が決定し(私はまだ昨年入会したての新人だったの
だが)6月の山行として私がリーダーとして行くことが決まった。
山岳会の月例山行とはいえ登頂が困難な山ということもあってメンバーは3人で行く
ことになった。
<6/4>
寺尾さんの車でメンバー各人の家に迎えに来てもらい豊栄を出発。
昨年白砂山に行っているので道はよく覚えている。
深夜に登山口の野反湖に着いた。駐車場には数台の車が停まっていた。
駐車場は幕営禁止だったが、深夜着で早朝発なので駐車場にテントをはりテントと車
に分かれて就寝した。
<6/5>
辺りが明るくなり出した頃起き出し、簡単に朝食を摂って出発した。
白砂山までは整備された登山道を行く。ただし、この道はアップダウンがある道だと
いうことは昨年の経験で分かっていた。
歩き出すといろいろな小鳥のさえずりが聞こえてきた。あいにく鳥に詳しいメンバー
がいなかったので種類は分からないが、バードウォッチャーなら喜ぶのではないかと
思われるくらい種類が多かった。
途中で25名の団体に追い越された。こちらは重装備、団体は日帰り装備歩く速さが違
う。
堂岩山の手前に水場がある。水場は登山道より2分くらい下ったところにある沢だ。
堂岩山で森林帯を抜け、正面に白砂山が堂々とした山容を現した、そして、左手に目
指す佐武流山がどっしりと構えていた。
天気は晴れ、気温は高く半袖で歩いても汗が出るくらいだ。
道端に石楠花の花が沢山咲いていた。白砂山山頂手前の南側斜面にシラネアオイの群
落があった。
白砂山の山頂は団体がいたせいもあるが沢山の人で賑わっていた。そこで、30分の休
憩をした。
休憩後佐武流山に向かって歩き出す時は、多くの人に見送られる形となりまるで出陣
のようだった。
白砂山山頂の隣のピークを巻いた先に佐武流山に続く尾根が分かれていた。
道は薄い踏み跡があるがネマガリダケが濃く踏み跡はその下に隠れていて上からは全
く見えない。
しかし、白砂山より距離にして1kmくらいは半分以上雪の上の歩きで快適なペース
で進んでいった。
尾根が小さく西にカーブする辺りから雪は少なくなり、ほぼネマガリダケの薮こぎに
なった。踏み跡はほぼ消えていた。
2000m級の山なのでまだかなりの雪が残っていると私は判断していたがこれは
まったくの見当違いであった。
プラスチックプレートが木に打ち付けてあったり、ビニール紐や布が木に縛りつけて
あったりで目印は沢山あり、行軍の助けになった。
私たちもオレンジ布を要所要所に付けて帰り道の目印にした。
最低鞍部に着くと、用心の為に持ってきたアイゼンをこの先では使うことが無いとい
う判断をし、そこに置いていった。
最低鞍部はテント2〜3張りくらい張られる広場があった。
最低鞍部から登り少しの間はネマガリダケが生えておらず踏み跡が明瞭だったが、す
ぐにまたネマガリダケの密叢になった。踏み跡は全く無い。
とにかく重い荷を担いでの薮こぎは思った以上に労力を費やす行軍速度は極端に遅く
なっていた。最低鞍部よりの登りで最初の雪渓があるところで昼食にしようと考えて
いたが、最初の雪渓が現れたのは沖ノ西沢ノ頭の少し手前の標高2000メートル付近
だった。
水は雪が頼りだ。とりあえずそこで昼食とした。
メンバーの疲労度は思ったより進んでいるように見えた。
当初は赤土居山の西鞍部で幕営の予定だったが、この調子だと重い荷を担いでそこま
での到達は困難と判断した。しかし、士気が衰えるといけないので登頂を諦めるとは
言わず、沖ノ西沢ノ頭北側で雪の有る所で幕営地を決め荷を軽くして佐武流山を目指
そうとメンバーに伝えた。
しかし、この近くで幕営地を設定するからには当日中にそこまで戻ってこなければな
らず引き返す時間を3時30分と決めそれをメンバーに伝えた。
沖ノ西沢ノ頭北方は北斜面の雪を期待していたが、尾根が痩せているので雪がつか
ず、わずかな平場をとりあえずの幕営地を設定して荷物をデポし歩き始めた。
赤土居山の登り始めまでは尾根が痩せているせいか踏み跡が明瞭にあった。
赤土居山に着いた時、メンバーは疲労感を顔に出していた。
薮の状態からここから佐武流山の往復は約5時間かかると判断した、そのうえ幕営地
の沖ノ西沢ノ頭まで戻らねばならない。時刻は14時を回っている佐武流行きを強行す
れば日没までにはとても帰り着けない、よってここで撤退を決意した。残念だが仕方
が無い、当初から計画に無理があったのだ。
佐武流山はガスの中に隠れて姿を見ることが出来なかった。
幕営地は沖ノ西沢ノ頭山頂よりやや南側の雪渓の近くにした。ネマガリダケの薮の中
に幕営することにした。
その晩は前夜の睡眠不足と当日の行軍の疲れから日も暮れないうちに就寝した。
<6/6>
この日も快晴だった。
早朝に幕営地を出発して、我々が付けた布を回収しながら往路を戻った。
最低鞍部からの登りはきつかった。登りは薮が逆目で薮をこぎにくい上、ネマガリダ
ケは滑りやすい。
白砂山が近ずいた雪の上で登山者2名にすれ違った。何処まで行くのかと問い合わせ
たら佐武流まで行くという、荷物を見ると日帰りのようだ。道の状況とだいたいの時
間を伝え日帰りじゃ登頂困難だと伝えると時間を決めて引き返す事にすると言ってい
たが、半袖に手袋もしていない、薮こぎの経験は有るのだろうか。
ちなみに私の薮こぎ装備は、長袖のシャツに長ズボン、手袋をはめて目をガードする
為のサングラスといういでたちだ。
白砂山まで戻ると長い薮こぎは終わり、あとは整備された登山道を戻るだけだ。
薮こぎをして登山道に出ると行軍速度がまるで違うのに気づく、いかに整備された登
山道がありがたいかが分かる。
ただし、白砂山からの下山は登り返しが多く、そのうえ、疲労が加わっているので登
と同じくらいの時間がかかってしまった。
右側に絶えず見える佐武流山は大きく堂々としていて我々を見守ってるようだった。
この日も沢山の登山者が白砂山目指して登っていた。
堂岩の水場で昼食にした。
そこに単独の女性が休んでいて、聞くと苗場山までの縦走を計画しているという。た
だ2泊3日の予定だそうだ。私は我々のコースタイムを彼女に伝え2泊3日の予定で初日
の昼頃まだここにいる様ではとても無理だと伝えた。薮こぎの経験は多少有るようだ
が、考えを変えた方が良いと私が伝えたら、地図を見ながら落胆していた様子だっ
た。彼女は結局何処まで行ったのだろう。私の忠告を受け入れてくれただろうか。
ようやく登山口の野反湖に帰ってきた。
野反湖は多くの観光客で賑わっていた。気温は夏を思わせるような暑さだ。
帰りに六合村温泉医療センターで汗を流して帰路についた。
佐武流山は今年来年と秋山郷からの登山道が整備される予定だ。
登山道が整備されれば秋山郷に前夜入れば一日で山頂を往復できるようになるだろ
う。
薮山のうちに登るには来年の登山道完成前に行くしかない、再びチャンスは訪れるだ
ろうか。

白砂山より見た、佐武流山と苗場山

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