越後三山縦走


越後駒ケ岳、中ノ岳、八海山

1999年8月22日〜23日、単独


8/22
コースタイム
4:00新潟市の実家発=5:20小出公園着5:45発−5:50小出駅着6:3
0発(バス)7:20枝折峠着7:25発−7:51明神峠着7:55発−8:36
道行山着8:45発−9:20小倉山着9:35発−10:05百草の池着10:1
2発−12:03駒ケ岳着12:17発−12:27グシガハナ分岐通過−12:5
9天狗平着13:07発−13:53 1866mピーク着14:05発−15:2
3中ノ小屋着−15:30中ノ岳着−中ノ小屋(泊)

信濃川の支流魚野川のそのまた支流の水無川を囲むようにして駒ケ岳、中ノ岳、八海
山が並んでいる、この三山を越後三山または魚沼三山と呼ぶ。また、この山の頭文字
をとって「はなこさん」とも呼ばれている。
一昨年登山を始めた年に駒ケ岳だけは登っている。その時三山縦走をしたいと思うよ
うになった。

前日夜、新潟市五十嵐の実家に帰っていたのでこの日は実家からの出発になった。
新潟西ICより高速に乗り、車を置くことにしている小出に向かって走る。
小出ICで高速を降り、近くのコンビニでこの日の朝食と山中の行動食を仕入れて小
出駅近くの小出公園に向かった。
小出公園は冬はスキー場になっているため広い駐車場があるが、夏場は車を置いても
迷惑にならないだろうと考えここに車を置くことにしていた。
近くの人の早朝の散歩コースになっているのだろう、何人かの人が歩いていた。
公園からはおそらく越後三山が望めるはずだが、曇っていて三山とも雲の中、近くの
権現堂山が見えていた。
駅までは5分の距離だった。
6時30分発の銀山平行きのバスに乗る。乗客は私一人だ。大湯温泉で登山姿の女性
が一人乗ったが夏山シーズンの日曜日に乗客が二人、最近あちらこちらの山で登山口
まで運行しているバスが廃止になっているのは分かるような気がする。
駒の湯入り口を過ぎるとバスはエンジンの音が大きくなってくねくねした上り坂を
登っていく。
スピーカーよりガイドが流れるが、エンジンの音でかき消されてほとんど聞こえな
い。
バスの車窓から山頂部分は雲がかかっているが、駒ヶ岳の雄姿が望めた。
枝折峠に着くと同乗の女性登山者はさっさと登山道に消えていった。
峠には観光バスが一台と乗用車5台ほどが泊まっていた。団体客が駒ケ岳に入ってい
るようだ。
周囲はガスのため視界はきかない。
登山道は最初から稜線上の道だ。
祠のある明神峠を過ぎ緩いアップダウンを繰り返しながら進む。
道行山を過ぎ小倉山で駒の湯からのルートと合流。一昨年登ったときは左手に荒沢岳
を見ながら歩いた景色の良い道だったが、この日はガスが晴れずただひたすら歩くの
み。
小倉山を過ぎると緩やかに登り始める。
百草の池はかつては良い幕営地だったため荒れてしまい、今は立ち入り禁止にして回
復している。登山道の一角から見ることが出来る。
この辺りから道はようやく本格的な登りになる。だんだんと急登になっていき、ガレ
場を過ぎると駒の小屋に着いた。
バスに乗ってきた25名の団体さんが休んでいた。郡山から着たそうだ。
私もここで昼食にした。
小屋でゆっくり休み管理人にそろそろ出かけないと後の行程がきついよと言われ重い
腰を上げた。
ここまでは水は1Lで充分だったが、この先水場が中ノ岳から少し降りた祓川まで無
いことから二本の水筒2.5Lを満タンにした。
小屋から13分で駒ヶ岳山頂に着いた。3人のパーティーと単独行が山頂にいた。
山頂に着いた途端雨が降り出した。景色も全く見えない。前回来た時もガスのため景
色は見えなかったので残念だ。
雨具を着けたら雨が止んだ。また、雨具を脱ぐ。
駒ケ岳を離れるとそれまで賑やかだった登山道に人の姿が消えた。
中ノ岳までの縦走路へ入ると道は刈り払いされたばかりなのだろう、幅広くてとても
歩きやすかった。
グシガハナの分岐は道標に注意しないとまちがってグシガハナ方面に下りそうにな
る。
最低鞍部の天狗平で雨が激しく降り出した。雨具を着けた。
檜の廊下付近は喬木帯で枝や木の根が道を覆っていてなかなか歩きづらい、それでも
枝に鉈目があり本来はもっと歩きづらかった事を物語っている。
この付近から刈り払いはされておらず、笹が道を覆って薮こぎを強いられた。踏み跡
はしっかりしているが上から見ても道が何処についているのか分からない。おかげで
足元が滑り余計な体力を使ってしまったようだ。
1866mピークで小休止、ここで雨が止んだ。しかし、薮のため雨具は着けたまま
だ。
エアリアマップでは檜の廊下とこのピークが重なって記されているが、檜の廊下はこ
のピークの北側の鞍部付近だ。
1866mピークの南側の鞍部付近でまた道が広くなった。雨具を脱いだ。
少し歩いたとき、左足の膝上の筋肉が痙攣した。その場に座り込みマッサージして回
復するがこの後わずかの登りに時間がかかってしまった。痙攣の原因は何か、飛ばし
すぎたか、水分は充分に摂っていたが。
坂が緩くなりガスの中から中ノ岳避難小屋、通称中ノ小屋が見えた。小屋に荷物を降
ろして山頂へ向かう。
山頂へ着くが、ガスのため周囲の景色は見えず、足元に日向山(ひなたやま)が見え
るだけだった。
天気がよければこの先の祓川でツェルトを張るつもりだったが、また雨が降ると行け
ないので小屋に泊まることにした。
雨の中の薮こぎをしたおかげで雨具の下もびっしょりだった。
小屋には水場が無いが天水を溜めたタンクがあり、利用させてもらった。
この日の泊は私一人だった。

8/23
コースタイム
5:13中ノ岳発−5:42祓川着5:50発−6:01御月山通過−7:34オカ
メノゾキ着7:45発−8:35荒山着8:45発−9:05 1442mピーク着
9:15発−9:58五龍岳着10:29発−11:06入道岳着11:34発−1
2:30千本桧小屋着12:43発−13:13祓川着13:20発−13:28女
人堂着14:00発−14:48ゴンドラ山頂駅着15:00発−15:12ゴンド
ラ山麓駅着−八海山パークホテル−16:45中手原バス停発(バス)17:10六
日町駅着17:39発(電車)17:59小出駅着−18:08小出公園着=20:
00豊栄着

夜にも度々雨が降っていた。小屋に泊まって正解だった。
朝御来光を期待したがガスのため見ることが出来ず、早々に出発した。
草原の中の急なガレた道を下っていく。ズボンが草露で濡れたが、晴れればすぐに乾
くさと思い雨具を着けなかった。後にして思えば雨具のズボンだけでもはいていれば
よかった。
深く抉れた木のトンネルを抜け気持ちの良い水場のある草原の祓川に着いた。ここで
2.5Lの水筒2本を満タンにする。ガスがだんだん晴れてきた。
目の前の御月山は小さいが堂々と構えている。
急登一息で御月山に着く越後三山はまだ頂は雲の中だが、巻機山が見え始めてきた。
濡れた岩や木の根に足を取られ何度か尻餅をつく。
出雲先と思われる岩峰で小休止、擦りむいた肘にバンソウコウを貼るが汗ではがれる
ため上からテープを貼った。
刈り払われているのはこの辺りまで、ここから先は笹が道を覆い、低木の枝が道を隠
しているためまた薮こぎになった。
オカメノゾキは地形図には最低鞍部のところに名前がついているが、藤島玄の「越後
の山旅」には、最低鞍部よりやや中ノ岳よりでそこは足元が深く切れ落ちて北側のオ
カメ沢が上から覗けると書かれている。
現地には標識はないがそれらしき場所はすぐ分かった。こんなやせた場所で荷を下ろ
して休めないのですぐ近くのピークに腰を下ろした。ここまでは順調だった。
荒山は三角点があるはずだったが、確認できず適当な岩の出ているピークで小休止と
した。
この時には空は完全に晴れ渡り三山の雄姿を望むことが出来た。
なお、標識が荒山の西の鞍部に置かれているが、この場所は荒山ではない。
ここからは急な登り返しが始まった。道は再び刈り払われた道になった。
歩き出してすぐ、また左足が痙攣した。急なところで腰を下ろす場所さえない、何と
か1442mピークまで行きそこで足をマッサージした。この時点でかなり空腹だっ
たので、昼食以外の食料は全て食べた。この先の千本桧小屋に行けば多少の食料を調
達できると昨日携帯電話で確認してあった。
やっとの思いで五龍岳に着いた。山頂の南側に小さな池がありそのそばに祭神が祭ら
れていた。岳と名づけられているが明確なピークはない。
ここで貴重な水を使ってラーメンを作って食べた。腹は満たされたが荒山からここま
での間足を気遣いながら歩いたためかなり体力を消耗した。
大崎まで歩くつもりだったがゴンドラ利用の下山に方針を変えた。
足を引きずってようやく八海山の最高点入道岳に着いた。しかし、標石には丸ケ岳の
表示がある何故だろう。
この時は最高の景色だった。昨日歩いた稜線が手に取るように見える。その向こうに
荒沢岳の山頂が覗いていた。中ノ岳から兎岳、丹後山の稜線の向こうに平ケ岳の平頂
も見えていた。そして、米山、弥彦山、眼下には魚沼平野、素晴らしい眺望だ。すぐ
近くの八峰の最高峰大日岳の山頂に人がいるのが分かる。
しかし、体は完璧にばてている。水もすべて飲みきってしまった。その場に昼寝しよ
うと寝転がるが暑さと虫の音で眠れず、再び歩き出した。
大日岳には登るつもりだったが、岩場の途中でまた痙攣すると悪いと思い、迂回路を
通ることにした。
迂回路で駒ケ岳以来久々に登山者にあった。水を分けてもらった。
それから多くの登山者にすれ違った。三山の中で中ノ岳以外は手軽に登れるので登山
者が多いようだ。
八峰の道と合流すると千本桧小屋に着いた。
千本桧小屋は連峰中唯一の食事を提供する山小屋だ。ビールと烏龍茶を買った。ビー
ルはすぐに飲み、烏龍茶は水筒に入れた。休憩料500円とあったので、小屋の中に
入らず外で休んだ。食料は調達しなかった。
家族連れが休んでいた。八海山の山頂(入道岳か)まで行きたかったが、女の子供が
迂回路で恐くて泣き出して戻ってきたという。私が食料が無いことに気づくとプリッ
ツと柿の種をくれた。ありがたくいただいた。
左足の小指が痛いので見てみたら靴づれが出来ていた。バンソウコウとテープを巻い
て手当てをした。
そこから30分程下ると祓川の水場に着く、そこで水筒に水を補給、顔を洗った。
女人堂は新しくきれいな無人小屋だ。中は涼しかったので中で昼寝をした。
昼寝をしたら体力は回復した。痙攣気味の足も何とも無い。水場での水分補給と昼寝
がよかったのだろうか。
またいつもの快調なペースに戻った。しかし、濡れたズボンをはいていたためか、又
ずれが出来てしまい。又が痛い。やはり大崎まで歩くのは止めにしてゴンドラで降り
よう。
4合目半の大倉への分岐を過ぎるとゴンドラの音が聞こえてくる。
ゴンドラ山頂駅には数組の家族連れが遊んでいた。
乗車券は片道1000円、思わず高いと思ってしまった。歩いて降りればあと1時間
半は歩く、ゴンドラで降りれば10分で足りる、1時間20分を1000円で買った
ことになる。
それでも靴擦れ、又ずれの痛さがあるのでゴンドラで降りることにした。
このゴンドラは八海山スキー場にあり冬はよく来たものだ。
ゴンドラ山麓駅を出て、風呂に入ろうと八海山パークホテルに向かって歩いている
と、千本桧小屋であった家族連れが車で追いつき、パークホテルまで送ってくれた。
このホテルからは八海山の姿がま近に見ることが出来るはずだったが、この時すでに
山頂は雲に隠れていた。
パークホテルで風呂に入って乾いた衣服に着替え、中手原のバス停よりバスに乗って
六日町駅に向かった。
六日町駅で電車に乗り換えて小出駅で降り、小出公園に止めてあった車に乗って高速
で家に帰ってきた。

とにかく大変な山行だったが、充実感は最高にある。越後三山縦走はもう結構という
気持ちだが。
三山それぞれまた訪れたいと思った。

ちなみにかかった経費を紹介します。
高速代(新潟西〜小出)2550円
バス代(小出〜枝折峠)680円荷物代100円
中ノ小屋善意の寄付 1000円
千本桧小屋ビール700円烏龍茶600円
ゴンドラ乗車券片道1000円
八海山パークホテル入浴600円
バス代(中手原〜六日町駅)380円荷物代100円
JR乗車(六日町〜小出)400円


中ノ岳山頂にて

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