大鳥池の氷が解けた日の夜

2003年5月12日記

 「今、今日通ったコースを思い返しているの」
 念願の大鳥池の外輪山を一周を成し遂げ多日の夜、テントのなでOさんが言った。
 彼女は昨年山岳会に入会したばかりの新人女性だ。新人だか、若い頃はかなりハードな登山も経験したらしい、でも、結婚し家事や子育てに忙殺されて思うように登山が出来なかったのだが、最近子供が大きくなって手が離れたのか、昨年山岳会に入会した。ご主人は当会のベテラン会員である。
 私もこの一日を振り返った。
 三角峰のベースキャンプより大鳥池に下り、そこで朝食、三角池付近より登り返して、1446mピークに上がる。そして、化穴山往復。それから、小法師山経由で以東岳に登り、夏道の稜線をオツボ峰経由でベースキャンプに戻ってきた。
 化穴山往復の時を除けば、常に左手に大鳥池を望めるコースだ。
 その大鳥池は朝はほぼ全面結氷して真っ白だった。それが、湖面の中央付近から徐々に解氷し始め、我々がベースキャンプに戻る頃には7割以上の水面が出ていた。まさに池の氷が解ける日に大鳥池を見ながらの山行を行ったのである。偶然とはいえまさに千載一遇の瞬間だった。
 さらにこの日は風が少々強かったものの、一日中暖かい春の日差しのもとで行動でき、春霞で遠くの山は見えなかったものの、以東岳の山頂からは朝日の主稜線を望むことが出来た。
 山に登ることを趣味としていていなけばこんな瞬間にお目にかかれないだろう。
 Oさんは何処まで思い返したことだろう。
 私は化穴山に登る前に眠ってしまった。

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