私が生まれ育った新潟市の少し高い所に立つと、平野の向こうに山々が見渡 せる。 二王子岳、飯豊山、五頭山、菅名岳、白山、粟ケ岳、守門岳、弥彦山、角田山、 佐渡の山々。 この姿は小さいときも今もずっと変わらない、おそらく、私の生まれる前何千 年も変わらぬ姿をしているだろう。 私が大きなランドセルを背負って初めて学校に行ったときも、運動会で転んで 泣きながらゴールしたときも、クラスの女の子に胸をときめかせたときも、山 は変わらない姿をしていた。 そして、大人になって社会の荒波にもまれて、仕事に失敗して、あらためて山 を眺めたとき、そこには子供の頃眺めたのと同じ姿をした山があった。 これからもずっとこの山に囲まれて生きていたいと思う。